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分科会C
レイヤーのデザイン
〜時間軸で考えるデザインの力〜

フォーラム委員長・LEM空間工房 長町志穂

   

レイヤーするということ

 「都市デザイン」が他のデザインジャンルと最も異なる点は、「重ね合わせ」のデザインであることだと感じている。異なったつくり手が時間の経過の中で重ねていくデザイン、異なった専門分野が少しずつ重層していくデザイン、クリエーションの複合体。

 場所の持つDNAやそこに関わる住まい手や利用者の気持ち、そういったものをよりどころとしながら結果として次々に足し算引き算を重ね合わせていくことになる。それは、バトンリレーのように行われる永遠に続く「リノベーション」である。

 プロジェクトでコラボレーションが行われるような場合は別として、建築・土木計画・植栽・マテリアル・照明・色彩計画etc、それぞれが時間の中で「完成」をめざす。しかしながらそれぞれの「完成」は、都市・街として考えると、一次的な部分完成かもしれない。魅力的な都市デザインが「力強い魅力的な部分完成の集合体」であると仮定するならば、

 共通する「あるべきデザイン思想」や「クリエーションの作法」が何かあるのではないか。

 分科会Cでは、「力強く魅力的な部分完成」が重なり合った(レイヤーされた)事例をさがし、なぜ・どうすれば実現できるのかを議論し、複眼であるが故の「デザインの力」を確認していきたい。

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ニューヨーク・ブライアンとパーク:デザインの力で公園が変わった(改修前と改修後)(出典:『オープンスペースを魅力的にする』(学芸出版社)より)
 

時間軸で考える

 時間の中で、少しずつ足されたり引かれたりしながら、形づくられるのが街のデザイン。

 数年間で改装される店舗やモデルチェンジ前提のプロダクトとは異なるデザイン思想がそこにはあるはずだ。ところが、「売れさえすればいい住宅地開発」「お客さえ便利ならいい観光開発」などが氾濫し「場所や時間の視点」を持つべきデザイン領域であるにもかかわらず、時代の中で思想を失っている。

 一方、ありのままの自然の姿・古い町並みなどに魅力を感じない人はいない。

 もちろん「美しい過去」を保存することも重要だ。しかしながら、今回ここで議論したい「時間のデザイン」とは、「過去」に「現在」を重ね合わせることで、さらに魅力的な「未来」を意識するデザインをどうすればうみだせるのかということだ。

 デザイナーは「つくり手」なので、「つくる以上は間違わない」ことが重要だと考える。

 「時間の経過に耐えうるデザイン」「時間を意識したデザイン」とは何か。どうすれば、時間を越えて魅力を増し続ける街やモノ・コトをつくれるのか。

 具体的な事例で、「デザインの力」をイメージし、「時間」を読み込むクリエーションの手法を共有できればと考える。

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石器時代から今日まで建設の続くイタリアの洞窟都市マテーラ(筆者撮影)
 

デザイナーに求められる力量

 「時間を意識しながら力強い個々のデザインがレイヤーされる」ためには、それぞれのクリエイターが複眼を持ちつつ、その専門性の中での最大の力を発揮しなければいけない。理論だけでは鍛錬できないクリエーションの分野であるから、それぞれが感覚(Sense)を磨き造形力を高めるために、分科会Cでは可能な限りコンセプトを具現化するための具体的なデザインワークの過程やディティールの考え方・工夫などにも言及してもらい、価値観や大きな方向性のみならず具体策を実践するきっかけにもなれればと思う。

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