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デザインは力
〜Homo Designans〜人間はデザインする存在

大阪産業大学 金澤成保

 

 人間はデザインする存在である。二足歩行、知性、遊びだけが、人間を特徴づけるものではない。デザインも、ひとしく人間存在の特質である。そのことを端的に表すため、人類をホモ・デスィナンスHomo designansと呼ぶことにした。

 他の生物が、環境に従属的に生きているのに対し、人間のみが、環境を能動的に改変し創出しながら、暮らしている。その行為を総称してデザインと呼ぶことができる。デザインは、身体から外の環境に向かって開かれ、ヘアーデザイン、ファッションデザインから建築、さらに都市のデザインへと広がる。文明とは、畢竟、デザインの多様化と拡大のプロセスともいえるのだ。

 デザインは、人間性、そして自由を表象する。したがって人間性と自由を封ずるためには、デザインを封じ込めることが必要であった。そのことは、ファシズムの時代や社会主義国家をふり返ってみても明らかだ(それにしても、いまだに日本社会は「制服好き」である。学生服、セーラー服が、いうまでもなく軍服を模したものであり、児童に与えるランドセルは、明治期陸軍の「背嚢」を起源としている)。デザインという行為は、人間を人間たらしめる本質であり、人間に自由と創造力を与える源なのだ。

 デザインが「付加」価値であったモノづくりの時代から、デザインそのものがモノの価値を決定する時代へとシフトしている。「創造都市」への進化が求められる今日、デザインは、都市の魅力と競争力を決める鍵ともなるのだ。

     
     金澤成保(かなざわ しげもり)
     1951年東京生まれ。京都大学建築学科卒業、ヴェネツィア建築大学に1年間留学の後、京都大学大学院修了。
     日建設計都市計画部/計画事務所に勤務し、都市計画のほか、大阪市みおつくしプロムナードなどの都市デザインに従事。
     1988〜1991年、ペンシルバニア大学、コーネル大学に留学。佐賀大学に勤務の後、2001年から大阪産業大学都市環境学科に勤務。コーネル大学よりPh.D、都市・地域計画、環境デザイン、都市文化論を専門とする。
     佐賀市総合計画審議会部会長、伊万里市総合計画審議会分科会長、多久市総合計画委員会委員、大阪21世紀グランドビジョン策定委員、水の都大阪再生協議会アドバイザー、堺市景観審議会委員などを歴任。
 
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