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舗装デザインにおける「デザインの力」

日本興業株式会社 藤田浩暢

 

はじめに

 美しい国づくり政策大綱の施行やまちづくりにおける住民参加の普及などで、高度成長期における経済性や効率性、機能を重視するあまりに美しさへの配慮を欠いた雑然とした景観、無個性・画一的な景観等が見直され、“良好”な景観に対するニーズが高まってきている。


素材とデザイン

 インターロッキングブロックは、1950年代に西ドイツでそれまでの自然石の舗装に変わる走行性の良い素材をということで、車道使用を目的に開発され、日本では1970年代前半に西ドイツからその技術が導入された。当初は歩道を中心に普及してきたが、現在では一般車道やコミュニティ道路、ショッピングモールや交差点、駅前広場、駐車場やコンテナヤード等にも多く採用されている素材である。

近年は、バリアフリー化を目的に、水溜りの出来にくい「透水性」や目地数の少ない300□以上の平板サイズが標準となっており、弱視者のための視覚障害者用誘導ブロックとの組み合わせにより使用されている。

 豊富なカラーバリエーションを持つインターロッキングブロックの登場で、歩道の舗装デザインは路面に絵を描くような一部グラフィックデザインのような消費的なデザインが登場した。

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舗装面に絵を描いた事例
 
 魅力的な都市デザインは時間と共に形成される。しかし上記のような表面のデザインでは、70年代に創り出された、無個性・画一的な景観と同じようなものでしかない。

 ありのままの自然の姿や古い町並みなど魅力的な景観の多い日本において、近年創りだされる景観は寿命が短いことが多い。それはなぜか?つくり手の意識のなかに、「時間を意識したデザイン」があったのであろうか?売り手、メーカーのつくり手はどうか、商業ベースでの量産デザインではなかったのか。反省すべき点は多い。


重なり合う「デザインの力」

 都市デザインは集合体である。異なるつくり手がそれぞれの立場に立ち、時間を意識した考えをもちあい、重ね合せる。この作業にこそ後世に残る仕事、時間を越えて魅力を増し続ける街やモノを創るきっかけとなるのではないだろうか。

 本フォーラムによって、異なる分野のデザイナーに触れ方向性や価値観を共有することができれば、時間を越え輝きつづける新しい景観素材、新しいまちが生まれるのではないだろうか。

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施工10年以上越えても輝く現場事例「横浜ビジネスパーク」
 
     
     藤田浩暢(ふじた ひろのぶ)
     1998年日本興業株式会社入社。デザイン室、技術・開発部を経て、現在都市環境事業本部企画担当。主に公共工事に使用される舗装ブロックのデザイン及びエクステリア外構に使用される積みブロックの企画開発デザインに関る。受賞暦:グッドデザイン賞、業界初の積みブロックにて受賞、その他舗装材数点。
 
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