工業地区や幹線道路の造成の影響を受ける範囲を想定して住宅エリアとし、現況地形を残す谷にため池などの水系を整備してレクリエーションエリア(観光型農業)とする。2つのエリアの整備を連携させて、土地の販売戦略に結びつける。斜面畑の展開する丘は農民が都市型農業プログラムを実践するエリアとする。その奥には浄化センターが立地する谷(保全緑地)がある。地形の起伏に対応した住宅エリア〜田園エリア〜原野にいたる「開発と保全のグラデーション」が、デザインのイメージである。
この場合の「デザイン」とは、土地の持つ力と開発の力の調整と再配置であり、均衡する「型」の追求である。武道の型のように、2つの対立する力から、「静にして動」の型を探るのである。
自然と共振する
開発と保全のグラデーション
新都市開発区の外縁部に、農民や都市住民が住み、都市型・観光型農業プログラムが導入される新農村エリアが計画されている。現況は、幾重にも重なる低い丘に点在する農家、斜面畑のパッチワーク、谷底のため池などがあり、長江に沈む夕日にはため息が出る。この風景を残して開発に組み込んでゆくための戦略を話し合った。ランドデザイン 中村伸之
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