都市観光の新しい形
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都市観光の新しい形〜「まち」を育てる

リレー音楽祭inアトリウム

学芸出版社 前田裕資

 

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2007年プログラム(資料提供:京都ブライトンホテル)
 
 

1001回の連続開催を目指す

 12年前、恒例だった京都市交響楽団の大文字コンサートが予算不足で中止になったとき、61日間のリレー音楽祭が始まった。3年目からは約1カ月の開催となり、今年7月31日、500回目を迎えた。

 出演料はナシ。会場は約25.3m×34m×高さ20mという巨大なブライトホテルのアトリウム。運営は当ホテルが担っている。

 実行委員会は、井上道義、工藤千博氏ら5名、京都音楽家クラブ、京都府合唱連盟、京都市立芸術大学音楽学部、京都フランス音楽アカデミー、京都市交響楽団有志が協力してる。またロビーや回廊などから、無料で鑑賞できる。

 営業中のホテルのアトリウムであるため、音楽祭に関係のないお客さんも多い。また子ども連れで鑑賞に来る人も多く、ロビーバーも設置され、気軽な雰囲気だ。そのためコンサートホールのような静寂は期待できない。演奏がつまらないと、途中で帰ってしまう人もいるし、良いと立ち止まって聞く人が増えていく点が面白い。

 鑑賞ディナーや宿泊セットなども売られているが、果たしてどれだけ売り上げに貢献しているのか。ホテルの顔となるイベントとして取り組んでいるとのことだが、よく続くと感心する。

 最終日の中丸三千繪さんには1300人が集まったとのことだが、100人程度のときもあり、広い空間だけに少し寂しい感じがするときもある。

 たとえば昨年3万人を集めた仙台クラシックフェスティバルは、地元交響楽団のメンバーと、中堅どころの音楽家を集め、安価に良質な音楽を提供し、ファンを増やそうとしている。対して本音楽祭は、現代音楽など不人気なジャンルや、若手音楽家の参加(それも若手好みの難曲)にも取り組んでいるのが特徴である。現代音楽の新作は正直楽しめないこともあるが、学生にとっては得がたい経験ではないだろうか。

 今年も小学6年生の登坂理利子さんが素晴らしい演奏を披露した。8年前にはチャイコフスキーコンクールで優勝した神尾真由子さんも演奏してる。登坂さんもひょっとすると将来、ビッグタイトルをとるかも、と考えると楽しい。

 

付属のチャペルのミニコンサート

 またブライトンホテルでは、付属の教会(竹山聖設計)をつかったアクティス・ドリーム・コンサートを隔週水曜日に開いている。こちらは芸大生などが実行委員会をつくり、学生や卒業して間もない若手が演奏する。有料だが、演奏前後にロビーでホテル自慢のコーヒーやデザートが楽しめる。こんな地味な試みが、地元音楽家とホテルの熱意で続いていることは素晴らしい。都市の魅力を培う京都の底力である。

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