都市観光の新しい形〜「まち」を育てる
ごっくん馬路村のまちづくり
(株)URサポート 山本千維子
ごっくん馬路村 |
ごっくん馬路村が作られている高知県馬路村は、高知市街地から車で約2時間の山間部に位置し、人口は約1,200人。昔は林業で栄えたが、林業の衰退とともに村も衰退。村唯一の特産物ゆずに活路を託し、様々な商品を産み出している。
私がこの馬路村の商品に出会ったのは、最初は高知に旅した人のお土産でもらった「ごっくん馬路村」。これがあまりにおいしくて印象に残っており、その後人づてに「馬路村」のぽん酢がおいしいと聞き、「馬路村」という言葉がインプットされた。販売しているところを探したが、「ごっくん」は大阪で扱っているところをみつけられず、インターネットで取り寄せるようになった。
役割の違う2つのサイトだが、大きく共通している部分がある。それは、本来の「商品」や「行事」を紹介するだけでなく、村の「日常」=どんなところなのか、が丁寧に紹介されていることだ。そこには「村を大切に思っている」という気持ちと、「サイトの向こう側にいる人たちにちゃんと伝えたい」という気持ちが溢れており、見ている人に伝わってくる。
人は誰かが大切にしているものにはちゃんと気付き、やはり大切にするものである。商品を買うだけだったりするのに、そのサイトを一生懸命見てしまう。
また村の施設やイベントも増えており、温泉や特産物直売所、観光案内所などの整備や、マラソン大会、そして「全国まちづくり大交流会」なども催され、村自体のハード・ソフト整備も進められ、人口約1,200人の村に、観光客は年間6万人と言われている。
・ごっくん馬路村など、作り出される商品が美味い。
→→馬路村を知るきっかけ。村への興味。
・HPなどで村の日常=どんなところか、が丁寧に紹介されている。
→→村への想いを共有できる。愛情が湧く。
・事業展開・商品の多様さ。(温泉、交流会など)
→→継続して村に関わるチャンスがある。
といったことが言えると思われる。
村まるごとをアピールすることで、「馬路村」というブランド化がなされ、そのブランドを愛するファンを定着させることに成功している。
特別住民票が贈られる |
ホームページより申し込むことができるこの制度は、その特典の1つに「村長室で村長とごっくん馬路村が飲める」というものがあり、村の一員になったような気分になれるとともに、1度足を運んでみるか、という気持ちにさせられる。私もその一人として、四国に旅した際、高知より往復4時間かけてごっくんをいただいてきた。
「なんにもない村」であるが、行ってみると「なんだか嬉しくなる村」である。
これは山あいの小さな村の取組みであるが、大切なこと《自分たちの地域に愛情をもって、継続的に取り組み、広く人々と分かち合う》という点では、都市も含めあらゆる地域のまちづくりに共通すると思われる。