都市観光の新しい形
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都市観光の新しい形〜「まち」をデザインする

尼崎21世紀の森づくり協議会活動

兵庫県阪神南県民局県土整備部 難波健

 

 

尼崎臨海部の歴史

 世阿弥の能「蘆刈」や、文楽・歌舞伎で有名な「絵本太閤記十段目尼崎の段」の舞台となっている大物の濱は、今の阪神電鉄大物駅の南にあった。明治以前の尼崎は、白砂青松の美しい海岸を持つ地であった。

 やがて、昭和のはじめから臨海部の埋め立てに伴い、鉄鋼関連や電力を中心とした大規模工場が立地し、産業・経済優先の「豊かさへの夢」が追求され、海辺は姿を変え、深刻な環境問題が起こってきた。

 環境の21世紀を迎え、かつての美しい自然を蘇らせること、自然と人間の活動が共生する都市を創ること、持続可能な社会を構築することといった次世代に伝える「夢」をえがき、様々な主体が協働して目指す取り組みが「尼崎21世紀の森づくり」である。

 

プロセス共有型「尼崎21世紀の森づくり行動計画」

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100年の計画(出典:尼崎21世紀の森つくりパンフレットより)
 
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主体間のパートナーシップ(出典:同上)
 
 「尼崎21世紀の森構想」の理念を共有し、その実現に向けた取り組みを進めていくために、H14.8に「尼崎21世紀の森づくり協議会」が設立され、市民・企業・各種団体と学識経験者等のパートナーシップによりH16.9「尼崎21世紀の森づくり行動計画」が策定された。

 行動計画に基づいて実施された活力ある都市再生の取り組みなどはH17年1年間で149にのぼる。その内容には以下のようなものがある。

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うんぱくポスター
 

臨海地域を知るまち歩き
 まち歩きにより地域資源をまち歩きマップや工場マップにまとめ、それらを活用して市民に地域発見を促す。

沿道に花や緑を
 道路の拡幅予定地にみんなで花を植え、また森に植える苗木を育てる地域緑化の活動イベント。

工場緑化
 尼崎鉄工団地において、壁面緑化や工場敷地の活用によるすき間緑化の実施。

運河をきれいに
 埋め立てで生まれた尼崎の産業地帯は、工業用の揚水による地盤沈下で運河と閘門により囲まれた海面下の土地が多い。この運河の存在と意義に気付き、水をきれいにする活動や水辺と親しむイベント。

 

森づくり活動の向かう方向

 尼崎臨海地域に、100年をかけて様々な主体の共同作業により、自然再生を行う試みははじまったばかりだが、かつての工場地帯に多くの人が訪れている。

 21世紀の森づくり構想のもとに、住民が地域を楽しみ、それを発信することが活力ある都市の再生、新産業の創造につながる参画と協働のまちづくりとして進められている。

 現在はどちらかというと行政が事務局的機能を担って主導している形だが、森をつくるリーダーやまちづくりリーダーが育ち始め、森づくり・まちづくりを楽しむ人が増加している。

 自らの取り組みが地域をつくる実感を持つ市民の集まりが形成され、やがて行政や企業、関連する市民グループ等とのパートナーシップのもと、参画と協働による森づくりがますます発展していくことが期待されている。

 尼崎21世紀の森。

 http://www17.ocn.ne.jp/ ̄ama21/top.htm 。

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