都心を楽しむためには、 根拠地=溜り場を持つことが手っ取り早い。そこには、 昼間と違う人間関係による、 怪しく不可思議な世界が広がっている。
店内はお世辞にも美しいとは言えないが、 なぜかなつかしい雰囲気のあるお店である。 この店の酒飲み話からS.I 氏の“ 美人論”が生まれたと言われている(京都市四条木屋町上“八文字屋”) | |
京都とはどういうまちかを教えてくれるお店であると同時に、 京都が礼儀のまちであることも教えてくれる店である。 店内はいつもワイルドな生け花で満ちている(京都市四条縄手上“釉”) |
都心が魅力的であるためには、 そこで暮らす人、 そこを訪れる人が、 まず魅力的でなければならない。
特に、 都心に住む人が、 都心の中で展開する暮らしぶりの豊かさは、 その都心、 ひいてはその都市の魅力度を決定するものであろう。
現代日本は何と言っても管理社会である。
だからこそ、 プライベート空間におけるもう一つの社会が、 人が生きていく上で大切なのであろう。
かつて、 TVで次のような語りを耳にした。
“人は誰でも、 二つの人生を持つことができる。
遊びはそのことを教えてくれる。
”
これは中央競馬会のCMであり、 コピーライターは寺山修司であった。
都心居住者は、 溜り場によって“もうひとつの人生”を楽しみやすいであろうし、 逆に溜れる店があるまちは魅力的である。