動詞都市としての環境デザイン by 佐々木葉二
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都心居住の問題と魅力

管理・所有・利用の混在

   図2は昔の天王寺公園です。

サンクンガーデンという形で、 典型的な整形庭園様式でできておりました。

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   ところが最近の天王寺公園は図3のような形です。

色分けがされておりますように、 道路で動物園と美術館、 茶臼山と天王寺公園が完全に分離されています。

 

   天王寺公園の中では、 入場料をとっているということもあって美しい、 管理も行き届いた光景ができております(図4)。

お上が管理しており、 利用者が選択されていますが、 ともかく街中で安心して使える公園として回復してまいりました。

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   それまでは浮浪者もたくさんいたということがあって、 図5のようなフェンスが現在できています。

 

   こういう問題について直接取り上げることが今回の目的ではありませんが、 都心のオープンスペースを含めたこういう問題を乗り越えないと都心居住という問題は解けないのではないか。

アメニティという問題もそうです。

管理と所有、 それから利用が混在して問題となっています。

そのことを確認しなくてはならないと思うわけです。

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   天王寺公園のようにフェンスによって利用者を選択するということになりますと、 次に何がでてくるかといいますと、 あぶれたホームレスが公園の前で寝そべる光景が出現します(図6)。

そして女性は前を通るのを恐がる、 ということになります。

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   ただしこのホームレスの人たちも大事な都心居住者なのです。

またこの人たちも、 こういう都市の持っている倦怠とか無関心とかいうものの中で、 何とかして自分たちの存在感を、 瞬間の舞台としてでも植えつけようという部分があって、 道路を舞台化することになります。

ここでは、 「道」を「舞台」にしたパフォーマンスが毎日のように行われています(図7)。

 

   こういう「視線を意識した都心文化」が営まれているということが都心居住を考える際の第1のテーゼです。

 

群衆と孤独

画像yo08 画像yo09    では海外はどういうことかということですが、 ニューヨークのセントラルパークの周辺部分は高層のペントハウスができております(図8)。

アメリカンドリームのひとつには、 セントラルパーク沿いのペントハウス(屋上階)に住むということ、 そこで生活することが最高のステイタスとして見られています。

眼下には雄大な自然があって、 都市の四季変化を彩ります(図9)。

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   ただしこの広大なオープンスペースは有料ではありません。

誰でも行けますから、 もちろん犯罪も起こります。

そしてまた一般の人々が図10のように、 日曜日になりますとシートを持ってきて日光浴をする光景がよく見られます。

 

   こういう風景を見ていますと、 みなさん楽しんでいるようですが、 この中にも都心の魅力として多くの人が群れあうということとともに、 実はその中に孤独があるということに私たちは気づかないでしょうか?

 先ほど天王寺公園のホームレスの人々が孤独であると申しましたが、 実は私たちも孤独ではないか、 ということなんです。

そして群衆の中の孤独を求めてこそ、 都心の生活、 住まいがあったのではないかと思われるのです。

画像yo11  

   これはサンフランシスコで見かけた公園です。

ヒッピーないしはゲイの公園ですが、 彼らが毎月一定の所に集まってダンスに興じている姿です(図11)。

群衆の中で一時の快楽を求め群れあう部分がありながらも、 その中に一定の孤独という部分がある。

こういうことを私たちは決して否定することはできません。

そこで、 都心居住を考える際の第2のテーゼとして、 「孤独が都市の魅力」を挙げることができます。

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