午後は、 もう少し技術的に、 我々は大地とどう関わってきたか、 どうデザインへ展開させていくのかという話を進めていきたいと思います。
これまでフォーラムを6回行ってきたわけですが、 1回目から6回目まで、 テーマがどんどん抽象化してきました。 ものから形へ、 あるいは、 ものから心へとテーマが進んできました。 それに対して、 今回は五感で感じられるもの、 ふれられるものにもう一度戻そうというところから企画がスタートしました。
色々な議論の中で、 地形あるいは起伏という概念が出てきました。 地形、 あるいは起伏は、 風景を形づくっていく基本的な構造を形成しているものです。 そしてさらに、 地形、 起伏だと、 どうもテクノロジカルな言葉になってしまうので、 もう少し文化的な視点を盛り込めないだろうかと考え、 大地という概念に辿りつきました。 非常に大きなテーマですが、 こうして今日の「大地」というキーワードが決まったわけです。
また今年は、 お二人に対話方式で十分話し合っていただいて、 それを聞かせていただくことに致しました。 質疑応答を致しませんので、 会場の皆さんにはご不満が残るかもしれませんし、 ゲストスピーカ、 コメンテータの方にはご負担が大きくなりますが、 丁々発止のやりとりを聞かせていただくと、 勉強になるのではないかという趣旨でございます。
さてここで大地の意味をもう一度考えてみたいと思います。
震災でも、 地下構造物の問題点が如実に知らされました。 そういった物理的なもの、 地盤だとか、 地形であるとか、 地質であるとかといった側面を大地は持っております。
もう一方で、 大地を土壌と置き換えますと、 そこで植物が育まれ、 陸上生態系での物質循環のキー、 生態系のキーになっているのが大地です。
さらに、 今日の午前中にもありましたが、 その上で我々が活動をするという視点、 あるいはそれが歴史的、 文化的に積み重ねられてきたということがございます。
このような大地が持つ意味をもう一度考え直しながら、 午後のセッションを進めていきたいと思います。
具体的には、 5つのセッションで構成しています。
アーバンデザインのセッションでは、 都市開発において、 土地のランドフォーメーション、 あるいは土地利用システムに関わる大地の達人にお話しいただきます。
建築デザインのセッションでは、 その大地の上に立つ我々を守ってくれる、 シェルターとしての建築、 あるいは、 生活の場としての建築と、 大地との接点をどう考えていったらよいのかについて考えてみたいと思います。
さらに、 私は昨今の造成計画、 あるいは大地への取り組みを見てみますと、 自然に従うとうよりも、 経済的な価値判断、 あるいは、 ユーティリティ、 インフラと呼ばれるような設備系統に支配されているのではないかという気がします。 そこのところをクリアにしてみたいと考え、 起伏と土地の商品価値というテーマのセッションを設定しました。
その後で、 ランドスケープの分野での大地への取り組みについて考えてみたいと思います。
さらに、 最後の土木デザインのセッションでは、 巨大構造物と大地との接点をどういうふうに考えていったら良いのかについて議論をしたいと思っております。
こういった形の5つのセッションに、 楽しみながらおつきあいいただければと思います。
趣旨説明
大地への取り組み解題
〈大阪府立大学〉
増田 昇
なぜ、 大地なのか
午前中は、 福田アジオ先生のお話を聞かせていただきました。 日本人は境界を造らずに連続性の中で空間の編成をするけれども、 そこにはあるルールが存在するということでした。 切るわけでもないし、 つなげるわけでもないという、 日本人の真髄をつくお話を聞かせていただきました。
5つのセッションの意図
福田先生のお話しにもあったように、 日本には、 自然の持つ可能性と限界性の範囲内で、 自然にしたがいながらかつ活用してきたという歴史があります。 その中で、 大地の達人とも呼べる人々の歴史もあったわけですが、 それが社会的にあまり知られていない、 あるいは周知されていないという状況があります。 そこで、 大地の達人ともいうべき方々にスポットを当て、 もう一度、 考え方、 技術、 思想を学ぶ機会を作ってみようと考え、 「大地の達人に聞く」というセッションを設定しました。
このページへのご意見は都市環境デザイン会議関西ブロックへ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai