今日の午前中にも福田先生からお話がありましたように、 地球上で平坦なところ、 なめらかところは非常に少なく、 大部分は起伏のあるところです。
しかし、 斜めの空間では住んだり利用したりするのは難しく、 人間は平坦なところにまちを作ろうとしてきたわけですが、 日本では、 なかなかそうはいかないところもありました。 例えば、 尾道は、 地形に大きな変化があるところです。
ただ、 全体としては、 農業社会では平坦なところに集落が作られています。 そういった集落の中でも、 地形に変化のあるところがあると、 そこは、 なにがしかの意味のある場所になって、 神が宿っている、 あるいは、 神が宿っていると扱われるようになってきたのではないかと思います。
従って、 そういったところは、 今日でも、 コンクリートで固められることがあまりありません。
ところが、 近代化とともに、 こうした様相が変わってきました。 鉄道・自動車が発達し、 行動圏が拡大して、 その結果、 人口が都市に集中し都市が拡大してきました。 都市は平坦なところから、 丘陵地に近いところまで広がってきています。
大きなインパクトを与えたのは、 燃料の革命だと思います。 日本の山林のかなりの部分が薪炭林ですが、 薪や炭から石炭・石油そして電気・ガスへと燃料が変わり、 山林の持つ意味がかなり変化してしまいました。 簡単に言えば“経済価値を持たなくなった”と言って良いと思います。
一方、 大都市の人口の集中化と郊外化が起き、 宅地開発・土地造成のブームが起きてきます。 そういう中で、 山林は一見“無意味”に見える空間になっておりましたので、 開発の対象になってきました。
その一方で、 中国、 日本では条里制の文化が発達していたこと、 町人町なども碁盤の目や格子状の作り方がされていたこと、 それが、 日本の馬鹿高い地価と相まって、 碁盤の目の雛壇造成の宅地を作りだしてきました。 しかも、 擁壁をたくさん持つ、 世界でもまれな住宅地景観をつくってきたのです。
宅地造成の現状
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