大地をどう表現するのか
図1 現況地形および造成地形の表現方法 |
小学生が一番はじめに習う地図は、 図1(a)に示したような「ケバ式図法」です。 高学年になると、 図1(b)のような「等高線図法」になってきます。 日本では、 測量図や地形図では等高線がきちんと表現されているのですが、 計画設計の技術になると等高線が消え失せます。 宅地造成の分野では、 ほとんど図1(c)に示す「ヒゲ図法」で表現されています。 特に“土木の分野”では、 これが圧倒的なシェアを占めています。
図2 等高線による造成地形の表現方法(出典:土木学会『土木製図基準・第7編』より) |
図3 丘陵地開発における造成計画立案の基本的考え方(出典:戸建住宅地開発における景観計画指針 p.58/(株)都市設計工房編) |
例えば、 図2のような土地造成を表現しようとしますと「ヒゲ図法」では困難です。 緩やかな土地造成やラウンディリングされた土地造成、 あるいは変化に富んだ現況地形などは「ヒゲ図法」では表現できないのです。
それから図3(上)にありますように、 土地造成という行為は、 街全体のマスタープランから土着の文化・水系・植生などにからんでくるわけです。 これにきめ細かく対処していくには、 表現手法として等高線図を描くこと、 すなわちコンターワークと呼ばれている手法が今のところ最も適しています。
しかしながら、 残念なことに、 図3(下)に示すようなコンターワークの手法は、 日本でも知られてはいますが、 きわめて限定的にしか普及していません。