私が、 この西脇ニュータウンの計画に参画した1974年頃(当時(株)環境開発研究所に勤務)、 一般の郊外の住宅団地は、 ひな壇造成の住宅地がほとんどでした。 この西脇市でのニュータウン開発も、 普通であればひな壇造成の住宅開発で終わっていたのではないかと思います。 しかし、 この場合違っていましたのは、 計画エリアが30haぐらいあったのですが、 ほとんどの土地を西脇市が所有されていたことと、 半分近くが保安林に指定されていたということです。 さらに、 計画地の下流部には大池という池があり、 景観の良い、 本来ならば開発してはいけないような場所でした。 そういったことから、 ここではできる限り自然を残し、 土地造成もできるだけ少なくして、 「魅力ある高質な住環境をつくっていこう」となったわけです。緑風台の開発について
位置と計画の狙い
河本:
図1 西脇市「緑風台」位置図 |
これから報告する内容は、当時計画に参画された方々へのヒアリングをもとに、私なりに取りまとめたものです。
計画の特徴
計画地の特徴をあげますと、 3つになるかと思います(図2)。
図2 「緑風台」の三つの特徴 |
それから、 この計画地の中に3つの小さな川が流れていたわけですが、 この川はぜひ残したいと思い、 この水系を骨格としたみどりのネットワークを考えました。
3つ目は、 販売する宅地の区画内にも、 既存の樹木を残したということです。 ここは、 アカマツ林が続くなだらかな丘陵地帯だったのですが、 何とか、 このアカマツ林を残すため、 できるだけ造成せずに樹林付きで販売することにしました。
計画地は、 市街地から車で10分程度という立地条件の良いところでした。 加えて環境面で魅力を付けて、 付加価値をできるだけ高めた質の高い住宅地開発を狙いました。
図2の上の方に航空写真が載っていますが、 これは造成した直後の状況です。 まだら模様のように、 みどりの樹木がありますが、 これが宅地の中に松林が残っている様子です。
図3 「緑風台」緑のネットワーク |
先日、 計画地を見てきたのですが、 完成後20数年経ち、 砂利敷きだった緑道に草が覆い茂りいい雰囲気になっていました。 やはり、 自然を相手にする計画では、 あまり作り込まないのも一つの方法かと思います。 あとは時間にまかせればうまくいくような、 そういった誘導ができる計画を考えていく必要があるという気がしました。