環境共生型都市デザインの世界
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共生は甘い幻想

何にやさしくするのか

 自然界がこういうものだとすると人間と自然の共生とはなんでしょうか。 「人間が自然と共生して」とか「自然にやさしく」ということが盛んに言われますが、 さてどうしたらいいのか。

 自然界は競争しあっているわけです。 どれにやさしくするつもりなんですかということになってしまいます。 ライオンが可愛そうと言えばちっともガゼルにはやさしくありません。 ガゼルにやさしくと言えばライオンが困ります。 どうしようもありません。

 同じ種類であっても、 競争しあっています。 この雄がかわいそうとなると、 雌にすればつまらない雄を選ばざるを得ないわけで、 雌には可哀相な話です。 自然にやさしくというと、 全部にやさしくしようということになります。 共生しようと言うけれども、 先ほどお話しした通り、 自然界では各々できるだけ得をしようと考えているわけです。 では、 人間が自然と共生しようとしたらどうしたらいいんでしょう。

自然破壊は避けられない

 例えばカバは、 昼間は水の中に隠れていますが、 夜になると上がってきて、 大きな体で歩いて草を食べています。 あの大きさですから莫大な量の草を食べます。 だから、 そこの草はなくなってしまいます。 その上、 どたどたと歩いて行きますから、 通った道はもうひどいことになります。

 次の日にカバはどうするかというと、 同じ所に行かずに違う場所に行きます。 そこでまた食べて戻ってくる。 そして昼間は休んで、 次の日はまた違う所に行くわけです。 そうこうしているうちに最初に食べた草が生えてきます。 また生えた頃になると、 そこへ来ます。 こういうふうにぐるぐるまわっているものですから、 草もカバもみんなうまくいっているわけです。 だからカバも自然を破壊しているわけですが、 あるところ以上はやらないとも言えます。

 人間も生きていきたいと思っていまし、 なるべく快適な生活をしたいと思っていますから、 家を建てたり、 会館を建てます。 たとえば「緑の○○館」とか言って、 雑木林を切り倒して自然保護の勉強会をする会館をつくったりもします。 矛盾しているのですが、 自然のことだからと言って、 みんなが草原に座って、 雨に濡れながら議論したところで駄目なのです。 やはり会館も必要です。 そのうえ冬は暖房がほしいし、 夏は冷房がほしいと、 だんだんエスカレートして行きます。

 人間もカバと一緒で、 あるところまでは自然を破壊せざるを得ないでしょう。 これを全部止めてしまえと言ったのでは、 人間に死ねと言うのと一緒です。 そういうことは意味がありません。

 都会にしてもそうです。 あるところまで来ると街が出来てしまう。 都会がどうしてあんなに大きくなるのかといった問題はありますが、 とにかく人口が30万人くらいを越えると、 どんどん大きくなってしまうらしいのです。 そうすると今までずっと雑木林があったところに、 ただ家ばかりがずらっと並んでいる街が出来てしまいます。 これも相当すさまじい自然破壊です。

 そういう時に人間にそれを止めろというわけにはいきません。 我々は人間ですから、 人間のことを考えなければならないのです。

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