では環境共生から都市デザインに突きつけられている課題は何なのか。 いろいろな項目があがっていますが、 私なりにまとめてみました。
一つは「エネルギー問題」、 そして「自然の保全と緑化」あるいは「生態系の保全」が挙げられます。 さらに「廃棄物問題」と「水環境問題」とおおよそ四つがあるように思われます。
こういったテーマが出てくるのは、 環境共生には地球温暖化防止と、 自然と人類の共生という二つのテーマが一緒になっているからだと思います。 それぞれの動機は必ずしも同じではないようにも思えますが、 解決の仕方は、 だいたい共通しています。 しかし問題の原因も複雑なら、 解決の方法もややこしく、 それらが複雑に絡み合っています。 その関係を線で結ぶと錯綜し、 全体が一緒のように見えるのですが、 私は少し割り切ってお話させていただきたいと思います。
●エネルギー問題
●自然の保全と緑化
ただ日本の都市で緑を増やしても、 地球全体にとってどれだけ意味があるかは難しいところです。 地球規模から見ればたいした量にはならないからです。 しかし緑化にはCO2をどれだけ減らすかということだけではなく、 人間が住む環境としてどれだけ快適な場所をつくるれるかとか、 生物との共生にとっての意義など、 いろんな事が絡んでいます。
●廃棄物問題
●水環境問題
また昨今、 水に対する関心が高まっていますが、 これは地球温暖化によって海の水位など水環境に大きな影響が出ていることが、 一つの要因であるように思います。
環境共生の課題
「環境共生型都市デザイン」というタイトルを決めるにあたって、 「環境共生と都市デザイン」にしてはどうかという意見もありました。 しかし環境共生は、 人類の文明と地球のつきあい方をめぐる根本的な問題ですから、 建築を装飾するように環境共生をちょっとつけ加えるということではだめなのです。 技術そのものの姿勢、 都市デザインそのものの姿勢が、 環境共生の基盤をつくるものでなければなりません。 そういう姿勢を強く打ち出すために「環境共生型都市デザイン」としたわけです。
エネルギー問題は地球温暖化防止に一番関わっている問題です。 ですから省エネルギーとはCO2をどれだけ減らせるかということでもあるのです。 仮に石油がなくならないとしても、 どんどん使って良いという話しではありません。
自然の保全と緑化は、 CO2を減らすという観点からも重要です。 生態学では生物のなかで植物だけが「生産者」といわれ、 無機物から有機物をつくりだしています。 その時、 光合成により空気中の炭素を固定します。 空気中に炭素のあることが温室効果をもたらします。そのため緑の面積が地上にどれだけあるかが、 大きな問題になってくるわけです。
廃棄物問題には、 大きく二つの意味があります。 一つはリサイクルされないゴミが地球に残ることによって、 地球の生態系を破壊し、 次の世代により悪い環境を残してしまうことです。 そしてもう一つは、 廃棄物の処理と運搬、 特に運搬において、 CO2をたくさん出してしまうことです。
水環境問題は生態系の保全にとって大きな意味を持っています。
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