環境共生型都市デザインの世界
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Session 1
土地利用計画における環境共生

アルパック 堀口浩司

都市計画的視点で捉える環境共生

 このセッションの目的は土地利用計画における環境共生です。 都市環境デザイン会議の方々は建築系、 ランドスケープ系、 あるいは公園系の方が多く、 都市計画を専門とされる方は少ないそうです。 しかし山崎先生が問題提起で指摘されたように、 土地利用のあり方はCO2の発生量に大きく影響します。 そこでSession 1では、 建物をつくったり、 公園をつくったり、 プランニングをしたりという実際のものづくりの現場から離れ、 少し抽象的なレべルで、 近畿とか関西とかの都市圏レべルでの都市構造と環境共生をどう捉えるかを議論したいと思います。

パネラー紹介

 このセッションには、 3人の先生をお呼びしました。

 大阪市立大学の土井先生は元々建築のご出身ですが、 都市計画コンサルタントとして経験豊かな方で、 特に土地利用系の都市計画の専門家です。

 大阪産業大学の榊原先生は、 土木構造物のデザインを中心に活躍されています。 このセッションでは都市基盤、 都市の中のインフラという点に着目して展開していただきます。

 3人目は、 大阪府立大学の増田先生です。 農学部出身で、 緑地計画を中心にしたランドスケープ・プランナーともいえますが、 主として自然系のプランナーです。 都市と農地の関係、 あるいは河川、 海といった自然系のインフラとの関係で、 広域レベルの環境共生をどう考えるべきかをうかがいたいと思います。

 私自身は、 関西圏という我々のフィールドをベースにして、 どういうふうに都市が成り立ってきたかということと、 これからの都市づくりにおいて環境共生をどういうふうに位置づけていくかについてお話ししたいと思います。

用途地域の概念

 私は都市計画のコンサルタントで用途地域の仕事もよくやるのですが、 2〜3日前、 ある役所でこんな話を聞きました。

 その役所の方は「その街にはどうしても産業として工場が必要なんだ、 工業専用地域(工専)が必要なんだ」と言われますので、 「工専の何が必要なんですか」と聞きました。 工専の「環境」が必要なのか、 工専の「機能」が必要なのかという議論です。

 工専には工専としての環境があります。 工場だけが集まっていて、 住宅がなく、 隣を気にせず操業できる環境です。 公害関係の方はよくご存知だと思いますが、 工業専用地域は、 音とか振動とか臭いについて規制が緩いのです。 逆に言えば、 そのために工業専用地域という用途地域があったわけです。

 「何がいるんですかね」といったら、 「やっぱり街に必要なのは工専としての機能なのであって、 工専としての環境ではない」と役所の方はいいました。

 産業革命以降、 都市内に工場が発展し、 密集市街地ができ、 そこに農村部から集められた労働力が押し込められてきました。 そのような中で発生した衛生問題や公害問題に対処するため、 用途純化を目的として工業専用地域がつくられたのです。 現代都市を形作っている用途地域という概念には、 このような背景があります。 しかし工場を発展させるという目的、 機能から言えば、 事情は随分変わってきていると言えます。 工専の環境でなくても、 工場の発展は可能な時代になってきています。 ITなど先端企業は騒音や振動を嫌い、 人間にとって近しい存在になりつつあります。 また、 知的な産業の労働者は自然環境や都市文化を必要とするなど、 生産空間と快適空間は矛盾する存在ではなくなりつつあります。

 農業など自然を相手にした主たる生産空間が、 工業とともに都市へ、 さらにその外周部に立地し、 最近は都市中心部で居住空間とも連携しつつあります。

 環境共生を考える上で、 都市や郊外、 背後にある中山間地域を個別に議論するのではなく、 どのような都市像、 都市圏像を描くか、 少し抽象的ではありますが、 総合的に議論したいというのがこのセッションの狙いです。

議論のテーマ

 論点として三つのテーマを用意しました。 具体的な事例も交えながら議論してみたいと思っています。

 日高先生のお話にあったように、 ものづくりを中心にしてきた我々は破壊的存在であるかもしれません。 そもそも環境と共生することが可能なのか、 可能ならばどのようなかたちの共生があり得るのか、 これはなかなか答えが出ない部分だと思いますが、 全体論の中で議論してみたいと思います。

関東圏と関西圏

 今日は関東の方もいらしていますので、 首都圏と関西圏の比較もパネラーの方にお願いしました。 関西圏を参考に首都圏を考えたいという方も、 是非参加していただければと思います。

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