土井先生の報告に触発されてのコメントです。 日本の生活空間は扇状地形、 盆地世界にあるのが特徴だと言われました。 これを司馬遼太郎も「この国のかたち」で「谷の国」と呼んで特徴づけています。 例えばイタリア等では、 丘陵地に好んで市街地がつくられたことと好対象といえます。
私達の時代、山地の造成だけでなく、あらゆる分野でこれまでの規範を越えて生活空間をつくってきましたが、 これはもしかしたら日本の都市の歴史からみて特殊な時代であったのではなかろうかと思っていますし、 そのように願っています。
私は、 このフォーラムの事例集で、 日本の古代の計画手法として「風水モデル」「条里制」「方位線」をとりあげました。 これらは、 長年関西のいろいろな地域で仕事をし、 色々な地域で私自身実感したものです。 おそらく、 これらの古代の計画手法は、 縄文時代からの蓄積があって、 その上に中国、 韓国等からの技術が加味された日本独自の相当レベルの高い計画技術であろうと想像しています。
これらの計画手法が、 行政や学会等で取り上げられることが少ないのは、 実証性に欠くという点だと思いますが、 少なくとも日本の生活空間の文脈を踏まえながら、 土地をじっくり見て計画する効果をもつことから現代でも役に立つものであると思っています。
風水や条里制の知恵を見直そう
久保:
日本は、 山地を残すことが基本でした。 とりわけ関西は、 増田先生が言われる「大地形」、 すなわち急峻な山地が細かくあり、 そのことが関西の都市の特色をつくってきたことは、 報告にあったとおりと思います。 しかし私達は、 高度経済成長期を中心にそのような急峻な山地での団地開発も多く行い、 実際に高低差が100m程度の土のカット、 バンクは驚くほどのことではありませんでした。
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