環境共生型都市デザインの世界
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日本

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図21 熊本城
 日本の色彩は黒と白が基本だと思います。 日本人の持つ感覚や美意識はどういうもので洗練されていくかに私は関心を持っているのですが、 この熊本城のように黒を基調色としているものに私はとても共鳴します。 また、 城はもともと戦いの根拠地として作られたのですが、 その機能性にもひかれています。

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図22 その白壁(あるいは軒先のとらえかた?)
 熊本城のディテールのひとつです。

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図23 その妻面
 この瓦の線やラインの捉え方と間隔、 こういうものはシステムでは作っていないんです。 全部目で追って作っていますから、 軒の下の妻飾りのカーブなどはポン・デザールのカーブより綺麗かもしれないと思っています。 こんなカーブが日本人にも作れるんだと感心するのと同時に、 どうやったら作れるのかにも関心を持っています。

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図24 岐阜県白川郷
 日本の風景の美しさは、 やはり自然を基本にしているところから来るのだろうと思います。 まず、 日本の川は水がとてもきれいですし、 急峻な山を建物の背後にして、 美しい緑を背景にしているのが日本の風景の基本だと思います。

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図25 棚田
 棚田は今では生物の宝庫だから再生しようと注目されていますが、 私は棚田のように水田に水を張ったときの水平線が日本人の美意識を育てたと考えています。 また、 日本のように水が豊富だと木がまっすぐに育つんです。 ですから、 日本人は水平や垂直に関して厳しい美意識を持つ民族になったと思います。

 また、 棚田が多い所はだいたい地滑りが多い所なんですが、 棚田を作ることによって保水力を持たせるようにしました。 そんな農業技術も発達させ、 それが日本庭園の遣り水にもなったと私は思っています。 水処理技術にも優れています。 環境問題は、 こうした日本の農業や林業を再評価して見ることで解決方法が探れるんじゃないでしょうか。

 ただ技術を残したいと思っても現物が残ってなかったら説明のしようもないですし、 今は頑張ってこうした話を一生懸命している次第です。

司会

 美しい写真をたくさん見せていただきました。 美しいものを残すことは文化を残すことであり、 それには実際に目で見えるものが残ってないといけないというお話でしたが、 果たして我々は美しいものを残せるかという問題提起だったと思います。

 我々は美しいと思えるものをどれぐらい持っているか、 またそれを残せるかということは後半の論点になろうかと思います。

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