|
図16 ゴールデン・ゲート
|
|
この橋はシビル・エンジニアリングがひとつの最高峰を極めていた1930年代に作られたもので、 ゴールデン・ゲートと並んでベイブリッジがその代表としてよく紹介されます。
|
|
図17 そのディテール
|
|
側に行ってよく見ると、 そのディテールが素晴らしいんです。 リベットの打ち方は、 私にはどうやって打ったのかよく分からなかったのですが、 アートに見えました。 しかしこの橋はアートとして作られたわけではないし、 機能的な意味があるはずです。 ある機能を極限まで追い求めたら、 ひとつの美につながるのだと思いました。
|
|
図18 ボルトのディテール
|
|
ボルト1個の位置の決め方もアートに見えるのですが、 それ以上に感心するのはいつもペイントして補修を繰り返していることです。 ここは海風がとても強いから絶えず補修が必要で、 完成以来ずっと補修をしているんだそうです。 ここの管理をしている人は「美しいものにメンテナンスフリーはない」と断言していました。
サンフランシスコは気象が激しいところで、 地中海風に暖かかったり霧が出たりするのですが、 その条件の中でこのインターナショナル・オレンジの色の橋をずっと維持しているのです。 この色は海の色やこの地方の土の色とも、 とてもよく合っています。
|
|
図19 ヴィクトリアン・スタイルの住宅
|
|
私はこの通りをよく京都の町家にたとえるのですが、 京都の町家の場合は家の形態を少しずつ違えて家の表情を変えていきながらも、 通り全体は調和しています。 ここの場合は隣の家と微妙に色を変えることで、 家の表情を出しているんです。 近所の家とどうすれば調和するかで色を決めているそうで、 プロのデザイナーに聞くと「南側にあって一番きれいな色で合わせている」ということです。
絵を描くように色彩を日常の中で生かしているということは、 日本人には出来るようで出来ないことで、 日本に帰って街を見るとなぜ出来ないんだろうと考えてしまいます。 教育の場でもそういうことは教えていませんし、 「環境」という言葉を使うべきなのかどうかも分かりません。
|
|
図20 サンフランシスコのビーチ
|
|
日本のように護岸工事もしていません。 空の色と砂浜、 それに合うよう回りの建物もグレー系統がよく使われています。
|