私も仕事の関係上、 道修町にはお世話になっていて、 藤田先生のこともよく存じ上げております。 そこでひとつうかがいたいのですが、 マーケットストックはどうやれば生かすことが出来ますでしょうか。
私は東京生まれの東京育ちなので、 常々東西の違いを感じるのですが、 関西の人の経済に対するシビアさは、 あっさりとした東京の考え方と違って、 やはり三百年のストックに裏付けられているんだろうと思いました。 それを生かすのはハード面では難しいと思うのですが、 ソフトの面から考えると21世紀にもつながると思うんです。 これは小林先生が言われた美意識や教育にもつながりそうです。
東京者の目から見ると、 大阪のソフトには良いものが相当あると思います。 あとは揺さぶりをかけていくだけだと思いますが、 どの辺に切り口があるとお考えでしょうか。
藤田:
そうですね、 何かお金を支払う段になってから「なぜ払わにゃいかんのや」と言われる所は大阪の方がきついでしょうね。 私もよく「ご苦労様でした」と丁寧に挨拶はされますが、 お金の方はあまりもらえなくて、 事務所をどう維持していこうかと考えるぐらいです。
そんな風土の中で敢えて言うならば、 「プロの仕事はこれだけ差が出る」ということを見せつけるのが一番だろうなということです。
自慢話になりますが、 私が手がけた震災後の再建マンションで自己資金ゼロという物件があります。 しかも、 私はコンサルタント費用をきっちりいただきました。 国のあらゆる融資制度を全部動員して税金、 登記関係もプロジェクトチームを作り計画、 実施したのですが、 プロの仕事とはそういうものです。 そして「これだけのものが地元負担なしで出来たで」と現物を見せないと、 大阪の人は分かってくれません。 作品評価なんてしてくれなくて、 「高くつくんならやらない」という風土です。
つまり、 専門の仕事は専門家に任せろということです。 そして、 その分はきっちりいただく。 ただの仕事を喜んで引き受けるのはど素人のやることです。 そんなことを考えながら仕事をしているわけですが、 現実は未だ困難を極めているといったところです。
司会:
時間になりましたので、 これでセッション2を終わります。 みなさん、 今日はありがとうございました。
大阪のソフトストックを生かすには
伊藤(株式会社アイコットリョーワ):
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