環境共生型都市デザインの世界
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まちづくりは7割の安心、
3割の冒険を基本にしてはどうか

司会

 もう一人、 ぜひ発言していただきたい方がいらっしゃっています。 いろんな都市のイベントやフェスティバルを通じて都市をつくることを数多く経験された南條さん、 南條さんの目から見て今日のお話はいかがでしたか。

南條道昌

 今日のお話は大変刺激があって、 面白く聞かせていただきました。 我々が行動するレベルには欲、 情、 知という段階があります。 日高先生のお話のように生物学的に語られる部分もありますが、 我々人間が行動する場合「知」のレベルで行動することが多く、 「知」のレベルで欲や情も変わってくるんです。 「知」の部分が大きいからこそ、 「街が美しい」「汚い」あるいは気に入る、 入らないという意識を生んでいるんだと思います。 やはり「知」のレベルを上げないと、 美しさのレベルも上がらないと思いますよ。

 ストック型都市という言葉はよく分かりません。 良いストックを持っているといっても、 どんなストックでもフローの部分を持っていますし、 「これはいい」「欲しい」という気持ちが入っているものがストックなんだろうと思ったんです。

 また、 タームの取り方によっても違ってくると思います。 80年持ったらストックで20年しか持たないからフローだというのも短絡的な考え方で、 20年の寿命でも十分役目を果たしたものだってあるでしょう。 タームの長さに合ったものの使い方を考えていかなくちゃいけないと思います。

 私が思うに、 都市というものはいい環境や良いストックだと言われる部分と、 「なんだ、 あそこは」と眉をひそめられるフロー的な部分とで成り立っていると思うのです。 完璧にどちらかを目指すのは理論的には可能だけれど、 もしそんないいストックだけの街があったとしたら、 おそらくそこは活気のない街になってしまうような気がします。

 ですから、 まちづくりは「7割の安心、 3割の冒険」を基本にしてはどうかと思うのです。 7割の安心とは「まあ綺麗」とか期待通りということで、 3割の冒険とは「何、 これ」と言われるような危険性を含んだものです。 その混ざり具合を考えるのも面白いんじゃないでしょうか。

 それと、 小林先生がおっしゃった話はとても本質を突いていたと思います。 美しいものを見る目を養っておかないと、 どんどん美しいものが失われていきます。 特に戦後のアメリカナイズされた中で育った人たちの美のあり方と、 我々が育った環境の美のあり方は違うものになってきているようです。 日本人の美意識も変遷していますから、 変わり続けるとどうなるんだろうということも、 どこかで考えておかないといけないだろうと思います。

 ストックとフローという意味では、 藤田先生が報告された道修町のストックはすごいと思います。 だけど、 そのストックがフロー化されていないのが問題なのです。 たぶん道修町の始まりは、 いろんな人が集まってフロー化しているうちにストックになっていったということです。 しかし、 今はもう一度流動化させて、 新たなストックに変えていく必要があると思いますし、 その時のいいストックは何かを考えなくちゃいけないんだろうと思います。

司会

 ありがとうございました。 時間がなくなりそうですので、 フロアからあとお一人だけご発言を受け付けたいのですが。

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