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|   |  | 写真33 埼玉新都心 |  | そういう大地感覚とはいったい何だろうかと考えながら、 さいたま新都心の広場を対象とした国際コンペに応募しました。 ここでわたし達は都市のなかの21世紀の森をつくることを提案しました。 都市の中では、 人が自然と直接的につながるということと共に、 それを媒介とする祭りや文化がそこから生み出されてこそ、 その森がはじめて維持され、 生活の中で育まれる自然が成立するのだと考えたのです。 それが、 この約1haの人工地盤の都市の中の森として提案したものです。 
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|   |  | 写真34 ケヤキ広場(模型) |  | ひろばでは、 220本のケヤキを6m間隔で約1haの人工地盤に植栽しました。 その人工地盤には森のパビリオンやサンクンプラザ、 そして芝生の広場などが配置されています。 そこへカスケード沿いの階段を登ってたどりつくわけです。 
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|   |  | 写真35 断面図 |  | 写真35はその断面図です。 森のパビリオン屋上から都市を見ることができます。 1階のレストラン街はケヤキと同じ6mピッチで柱を配置しています。 
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|   |  | 写真36 完成時 |  | 今年の4月に完成した写真です。 220本のケヤキが美しい森を形成しています。 
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|   |  | 写真37 森の中の風景 |  | 森のなかの風景です。 ケヤキによって光と影のリズミカルなパターンがつくりだされています。 人々は駅から出ると、 このケヤキの森のなかを一旦通過して各建築施設に入っていくことになります。 ひろばは、 まさに都市の庭となっています。 
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|   |  | 写真38 木の配置のルール |  | この空間の構成は木と木のピッチが6m、 そしてキャノピー高さが6mという、 ひとつの建築限界をつくり、 樹形の配置パターンとコリドールがひろばの基本モジュールとなっています。 
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|   |  | 写真39 夏祭りのイメージ |  | 写真39はそのコンペの時のパースです。 これは、 夏祭りのイメージです。 
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|   |  | 写真40 秋祭りのイメージ |  | 写真40は秋祭りのイメージです。 ケヤキの四季の変容がこの広場の場面転換に結びついていることを表現したものです。 ケヤキの森は、 機械装置では生み出すことができない豊かな自然の変容を都心に映しだします。 実はそれはかってわれわれが受け継いできた社寺境内での村祭りのスタイルだったわけです。 このケヤキひろばは、 日本の境内林がもっていた広場としての役割を、 21世紀の都市にもってこようという試みと言えます。 
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|   |  | 写真41 冬のスケートリンク |  | 冬になるとケヤキは落葉します。 そこで、 木立をライトアップし、 冬の夜でもサンクンプラザで遊ぼうという提案です。 
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|   |  | 写真42 人工地盤の仕組み |  | 220本のケヤキを育てるためのシステムとしては4本ごとのユニットコンテナを造り、 そこに人工改良土壌を入れています。 そしてその上にPC版を乗せ、 床スラブを造るという浮き床工法を開発しました。 
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|   |  | 写真43 アーススラブ・システム図 |  | 石とアルミグレーチング、 そしてPCパネルという構造によるケヤキのユニットは、 将来、 防水層が破れたとしても、 このユニットさえチェックすればよいというメンテナンス上の利点をもっています。 
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|   |  | 写真44 土の層を見せる |  | さらに土の層(アーススラブ)を建築の側面でガラス越しに見せています。 手すりも1階のレストランも同じストライプガラスで包み込み、 21世紀の技術を使った人工地盤を外からも隠さず見せるようにしました。 そうして、 浮遊感覚をもつ広場となったわけです。 
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|   |  | 写真45 カスケード |  | 写真45は、 人工地盤に浸透した水を集めて、 中水として流しているリサイクル水によるカスケードです。 
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|   |  | 写真46 カスケード |  | カスケードの水面は、 太陽の光を受けると細やかなさざ波と音を表現してくれます。 
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|   |  | 写真47 カスケードを横から見る |  | 写真47はそのカスケードの断面です。 
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|   |  | 写真48 ライトアップ |  | 夜になると、 このサンクンプラザの9000個のガラスブロックがライトアップされて、 光の庭となり、 ここでもイベントが始まります。 
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|   |  | 写真49 床照明 |  | 床照明と建築化照明によって冬のケヤキの梢の美しさが、 浮かび上がっています。 
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|   |  | 写真50 床照明 |  | 6mグリッドの床照明によって、 ケヤキの枝があぶりだされている風景です。 
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|   |  | 写真51 ケヤキ広場で休息する人々 |  | 365日いつでも使えるような、 人と自然が交流できる空間は、 これ以外にもあらゆる形で提案できるのではないかと思います。 大事なのは、 単に緑があってとか水があってということではなく、 どういう方法で人が自然とのかかわり方ができる場所になれるかを考えることではないでしょうか。 それはエコロジーのシステムによってサステイナブルであるだけではなく、 それを支えている生活文化によってサステイナブルな場でなければならないと思います。 
 そこに人間と自然と一体化した環境が生まれてきたんじゃないか、 それがわれわれの日本の文化であったんじゃないかと思うわけです。 そういう日本の文化を継承することを考えつつ造ったのが、 このさいたま新都心の「けやきひろば」です。 
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