環境共生型都市デザインの世界
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総括
今日のフォーラムで見えてきた課題

フォーラム委員長/立命館大学 山崎正史

近代への反省が形となった「環境共生」

 今日は私の理解を超える話題がずいぶん出てきましたので、 総括と言うより私の感想として聞いていただければ、 ありがたいと思います。

 今のフロアからのご意見の流れで話を進めますと、 近代技術と近代美学への反省はポストモダニズムが話題になった頃からたびたび指摘されてきました。 また20世紀の7割ぐらいは進歩主義でやってきましたが、 あとの3割は疑ってきました。 今日の日高先生のお話の中でも、 ダーウィンの進化論についても、 生物学の分野では進化の意味が変わってきているということが出てきました。

 20世紀が終わろうとする今になって、 特に日本では風景の問題がクローズアップされてきています。 近代美学への反省として我々もかなり議論しています。 環境共生というキーワードは、 近代技術への反省が形となって現れているようにも思えます。 あるいは、 近代技術と美学(精神論)という両方への反省が方法論として形を取りつつあると見ることもできるでしょう。

 これは大変大きなテーマですから、 戸惑いや踏み込んで発言することへのためらいがみなさんの中にもあるように私は感じました。 「フローとストック」をテーマにした第2セッションでも、 文化としてのストックが強調されましたが、 我々が今直面している都市の課題としては技術的な課題がかなりあるのも実状です。 我々はまだ環境共生という観点からこの問題について語れるほどの経験と知識がないのではないかとも感じた次第です。

21世紀の課題は環境共生と風景

 今日はともかく、 21世紀の大きな課題は環境共生で、 それを実現するためには図らずも風景主義というお話も出て、 環境共生と風景は我々の当面の課題なのだと改めて実感させられました。

 実は環境共生というテーマでどれだけ話ができるかフォラーム委員会では心配していたのですが、 どの分科会でも時間足らずになるほど盛況でした。 いつものフォーラムですと、 ここでまとめの話になるのですが、 今回はこれから我々が仕事をしていく上での知見を広めるためのフォーラムだったように思います。

 私は環境共生をもっと単純に技術的な問題としてとらえていたのですが、 精神の変化を求める技術の問題でもあり、 技術の変化を求める精神の問題でもあるという面が見えてきました。 これは人類の文明の地滑り的な変化と言いますか、 文明の根底を問いかけるような話だということが今日のフォーラムでは浮かび上がってきたという風にも思います。

 今回のテーマは漠として大きすぎたという反省もあるのですが、 これからはもう少し具体的にテーマ設定をして、 またみなさんに熱く語っていただく機会を設けたいと思います。 また、 その折りのみなさんの報告を期待しております。 今日はありがとうございました。

司会

 午前中の日高先生のお話に始まり、 午後の分科会を経ての閉会ですが、 今日は時間が短く感じられる一日だったと思います。 私自身も環境共生のステレオタイプ的なイメージが砕かれて、 いろいろ考えさせられました。 たくさんの刺激を受けたフォーラムでした。

 ではこれをもちまして、 今年のJUDIフォーラム・関西を終了させていただきます。 みなさん、 長時間にわたってのご参加、 有り難うございました。

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