Session-3 プレゼンテーション環境共生と快適性コーディネーター/ランドデザイン 中村伸之 |
かつて、 クリストファー・アレグザンダーは
そして、 2枚の写真を対比して、 2つの世紀のイメージを説明している。
つまり、 近代的なビルよりも、 干している大根のほうが生物学の時代にふさわしい生命感があり、 21世紀のイメージを表現しているというのだ。
環境共生を都市デザインの課題として捉えた場合、 このような生命感を持った“快適性”を生み出せるか否かが重要である。
また、 表層的で安易な都市デザインにおいては、 短いサイクルでスクラップ&ビルドを繰り返し大量の廃棄物を生み出す工業製品(二次製品)のわずかな差異のみが、 環境の価値を生み出すような誤解が流通している。
このような“浪費型都市デザイン”が何の文化や歴史を生み出さないばかりか、 何ら資産を形成しないところに永遠に投資を続けなければならない“地獄のような悪循環”であることに、 自覚的な消費者のみならずメーカーさえも気付いているであろう。
“浪費型都市デザイン”を克服し、 時間とともに味わいを深めるような“快適性”を持ち、 本来の意味での都市文化を醸成するような“循環型都市デザイン”の可能性についても追求しなければならない。
そして、 以下のような話題を提供する予定である。
「20世紀は物理学に支配された時代だといえ、 21世紀は生物学に支配される時代だろう。 20世紀というのは非常に単純な構造について考えていた時代であり、 それにくらべて21世紀はもっと洗練された構造を持った時代として登場すると思われる」と語った。
写真(1) 生き生きと輝く、 干している大根
写真(2) ガラス張りの近代建築
(1)には生命があり、 (2)には生命がない。 (2)は21世紀的のようで、 実は20世紀のものである。
セッションの趣旨
・21世紀都市での環境共生技術やデザインの集積は、 受容するユーザーの目にはどう映り、 どのようなアメニティを提供できるのだろうか?
実際に都市デザインに携わっているプレゼンテーターが“快適性=アメニティ”という切り口から、 環境共生型都市デザインの可能性を浮き彫りにし、 21世紀の環境文化を垣間見ようというのが、 このセッションの狙いである。
・風土に密着した沖縄の伝統的な建築群が独自の文化的景観を生み出しているように、 環境と共生する都市デザインは地域に根付き“新たな都市文化”を創造することが可能なのだろうか? それとも、 それは隠れた技術に留まるのだろうか?
・そもそも“生産・経済の時代”から“生活・環境の時代”へと移り変わる中で、 人々の生活や意識はどう変わり、 どのような快適性が求められるのだろうか?
・環境共生型都市デザインの“味わい”
・ユーザーと共有したい(すべき)“環境にやさしい”感性
・環境共生を意識することで新たに広がる“快適性”
・環境共生デザインを受容する文化的素地(伝統文化・サブカルチャー)
セッションの内容
本事例集に投稿された方の中からプレゼンテーターを選び、 各自が関わった仕事や他の事例、 アイデアなどを紹介しつつ、
・環境共生というテーマを都市環境デザインの中でどう解釈し、 具体化したか。
などについてプレゼンテーションし、 それをもとに討論を行う。
・その結果生まれた「風景」はどのような“味わい”や“可能性”を持っているか。
・将来の環境共生型都市(デザイン)はどのような感性や文化をもたらすか。
(あるいはどのような方向で作っていきたいか。 それを予感させる映像)
このページへのご意見はJUDIへ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai
JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ