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へその庭〜循環型外構の試み

建て替えを機に庭づくり(滋賀県栗東町)

ランドデザイン

中村伸之

 妻の実家が、 家を建て替えることになったので、 初めて個人庭園を手がける機会を得た(外構部面積約130m2)。 「へそ」というのは、 ここの地名である。


雨水の循環と「さや」

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雨水を流す「さや」
 雨樋の水を藤棚づたいに庭先へと落とし込み、 小さな「流れ」で地中に浸透させる。

 水を受け流するのは清水焼などの窯で使われていた「さや」(焼物に灰が掛かるのを防ぐ陶器製のカバー)である。

 窯で薪を焚くことのなくなった今日、 「さや」は不要の品であるが、 何度も焼かれて独特の風合いが出ている。 窯元にお願いして、 分けてもらった。

 火の中から水の中へ、 新たな落ち着き場所を得たと言える。 これに電球を組み込んだ灯籠も作った。


樹と石と土のリサイクル

 平凡な庭木であっても、 折々に植え足し30年も眺め続けると、 愛着が湧くものである。

 出来るだけ、 既存の樹木や石を活かしつつ、 明るい感じの庭を造ろうと考え、 高木は動かさず、 中・低木や草本はほとんど移植した。

 造成ガラ(1.5m3)は基礎砕石として利用し、 残土にはモルタルを混ぜて、 レンガの目地や敷きモルタルにした。


町並みの成熟

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以前の町並み
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現在の町並み
 石垣は閉鎖的で重苦しかったので、 崩して石を散らし、 隙間に草花を植えた。 街路から見て、 楽しい庭を造るのもねらいの一つである。

 供給後30年を経て、 コミュニティが成熟しつつある新興住宅地の、 町並みを提案したかったのである。

 庭を造ったのは、 偶然、 妻の妹が嫁いで行く時期であった。

 思い出のある木々や石を残したことで、 家族の記憶のつながりを感じてくれたのではないだろうか。

 今まで日陰にあり目立たなかった小木も、 表に植え直してみると存在感がでることもあった。

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