ホルムアルデヒドや有機化合物で健康阻害が起こるというのはよく聞く話です。
そこでリフォームではホルムアルデヒドや揮発性の有機溶剤の使用をできるだけ少なくしようと考えました。 405住宅では、 床材はF1、 パーティクルボードはE0といったホルムアルデヒドの排出量の少ないものを使っています。 塗料は自然塗料である珪藻土という土塗りの仕上げ材や、 日本オスモ株式会社が出している有機溶剤が非常に少ないオスモカラーという自然塗料を使っております。健康と環境への新たな配慮
健康に配慮した素材の使用
有害物質の排除
図42 建材でも健康阻害(1)
図43 建材でも健康阻害(2)
図44 健康に配慮した素材の使用
図45 環境汚染材料の不使用と部材の再利用 |
鋳鉄管は数十年歴史を遡ったような素材だという指摘をいろんな方から受け、 全くそうだという気もしているのですが、 取りあえず今回は塩ビを使わずにやっています。
それから、 配線関係も塩ビの被覆ではなくポリエチレンの被覆によるエコロジカル配線を使っています。 ただ、 洗濯機の中や照明の中といった製品の中までは手を入れておりません。
結局今回は塩ビを使いませんでしたが、 設計の方にも施工の方にも、 塩ビという材料がいかにすばらしいか、 こんこんとレクチャーを受けました。 塩ビは非常に劣化しにくいので、 使おうと思えばいくらでもリサイクルできるということ、 それから他の物と一緒に捨てられ低温で焼かれたりするから問題なので、 きちんと分けて高温の処理をすれば問題はないということです。 ですからリサイクルのシステムをきちんと確立するとか、 分別をきちんとすることが必要だと感じています。
当初のコージェネレーションシステム
燃料電池による独立型電源システムを目指して
図46 省エネルギーの実現 |
図47 燃料電池と未利用エネルギーの有効利用 |
図47が当初のエネルギーシステムです。 コージェネレーションシステムですが、 これはマンションでも使われていますし、 業務用のビルでも使われています。 発電機を備えて発電するわけですが、 発電した時に出てくる排熱を給湯や空調に使うというのが、 コージェネレーションシステムです。 だから特に住宅用とか業務用の固有のシステムということではありません。
NEXT 21の場合はそれをマンションでやってみようということで、 当初は100kWの燃料電池を使いました。 燃料電池は、 最新型のガスによる発電機です。 水の電気分解の逆、 水に電気を通すと水素と酸素に分かれるということの逆で、 水素と酸素をくっつけて水をつくる時に電気も出てくるという原理です。
このシステムの特徴は、 ガス器具なのにガスを燃やさず全部化学反応でエネルギーを取り出す点です。 天然ガスはメタンガスになっていますので、 それを改質して水素ガスにし、 酸素は大気中から取ってきて、 発電します。
通常火力発電所の効率が38%と言われています。 ですから100%のエネルギーを投与すると、 62%くらいは熱として大気中に発散されてしまうわけです。 私たちが使っている電気は、 そこから配電ロスを引くと、 効率が35%くらいしかありません。 燃料電池は非常に効率が高く、 第1フェーズの時の電池は40%弱でしたが、 今は45%を狙うようなものが開発されています。
電気は住棟内で使うのですが、 排熱のほうは蓄熱槽で貯め給湯に使ったり、 吸収式の冷温水機の方にまわして、 冷房や暖房に使っていました。 ただ、 この時には関西電力から一切電気はもらわなくてもよい、 独立した電源システムを構築したいとして、 使う電気は全部その場で発電し、 出てくる排熱を出来るだけ多く使うというシステムになっていました。
そのために、 熱が必要ない時にも発電しなければならないことが多く、 排熱を捨ててしまうという場面もありました。
図48 100kwの燃料電池
図49 当時ついていた廃熱利用の冷温水発生機
図50 屋上の太陽電池
図51 エネルギー消費量とNOx排出量のシステム比較 |
図52 今回の住棟エネルギーシステム |
10kWの超小型マイクロエンジンを2台で、 20kWの発電をおこない、 かつ実際に発電した時には排熱は100%使おうというシステムです。 共用と住宅用の1台ずつのエンジンで発電していくわけですが、 この発電された電気はマルチ切替器を通じて配電されていきます。
このマルチ切替器は、 関西電力からの電気を使うか、 エンジンからの電気を使うか、 各負荷ごとにスイッチを持っています。 エンジンは約10kWなので、 3kWや4kWの発電では効率が悪いので、 どの負荷とどの負荷を組み合わせると9.8kWになるかをマルチ切替器が瞬間的に計算して、 ちょうど9.8kWの負荷がエンジンにかかるように、 経路を選んでいます。
また排熱の利用先がないときには、 発電をやめて100%関西電力からの電気を使います。
夏場は排熱の使い道が少なくなります。 お湯もあまり使わないので、 空調しか使い道がないわけです。 そこで氷蓄熱の吸着式冷凍機という開発中のものをつけています。 これには製氷モードと冷水モードがあって、 夜間に排熱で氷を貯め続けていきます。 昼間はやはり排熱で冷水をつくって、 冷水で冷房をするわけですが、 夜間に自分で貯め込んだ氷を溶かしながら冷水をつくりますので、 大きな容量の冷水発生機になるというものです。
このように暖房や冷房も70度の廃熱で行なうことができます。
図53 固体高分子型燃料電池におるコージェネレーションシステム |
人が実際に住む家で個別の燃料電池の実験を行なうのは、 ここが世界で初めてです。
図54 生ゴミ排水処理システム |
第1フェーズでは、 16戸50人が住んでいて1日でだいたい8トンの中水が出てきて、 そのうちの3トンくらいをトイレの流水に使い、 5トンは1000m2の植栽の自動散水に利用していました。 さらに今回の改修工事で、 紙やプラスティックが多少混じっても、 全部分解できるシステムに変えようとしています。 紙やプラスティックはリサイクルに出してもらうことを大前提にしながら、 多少のものがここに混入してきても、 全部分解できるようにしたいと考えています。
実用化の目処はまだ立ちませんが、 ここで実験を続けたいと考えています。