NEXT 21の居住実験
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立体街路の評価

通路ではなく街路として

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図30 立体街路の模式図 図31 3階部分
図32 5階部分
 

改行マーク立体街路という試みは、 第1フェーズの設計の時に一番苦労した部分だと聞いております。 都市が縦型に広がっているという考え方で、 共用廊下ではなく街路なんだという設計をしています。 回遊性を持たせたり経路の選択性を持たせたりといったような工夫をし、 豊かな空間を目指しています。

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図33 立体街路=積層空間における「みち」
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図34 入居者の行動と評価
改行マーク立体街路の設計のポイントとして、 5点挙げております(図33)。 住戸の表情ができるだけ立体街路に出てくるようにという「住戸と立体街路の結合性」、 それから「公共性」のある空間として街路の役割を果たすということ、 またA地点からB地点に行くときに経路が選択できる「経路の選択性」。 そして「回遊性」、 「開放性」となっています。

改行マークその中でも、 「回遊性」が入居者から一番評価が高かったのですが、 やはり散歩が出来るかどうかが、 通路と街路の一番大きな違いではないかと思います。 自分が前に進んで突き当たると引き返して来なければいけない空間では、 あまり散歩をしようという気にならないと思うのですが、 回遊性のある経路は散歩の空間として使われています。

改行マークNEXT 21でもお子さんを連れたお父さんが散歩をしたりする風景がよく見受けられました。 京都大学のご協力を得てビデオカメラを使って立体街路の利用風景が収録されているのですが、 敷地から一歩も出ないで、 立体街路の中だけで散歩を終わらせて家に帰っているお宅が何軒もありました。 そういう意味では「回遊性」が非常に重要だという気がしています。

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図35 子供が遊んでいるところ
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図36 玄関での風景
改行マーク図35は子どもが遊んでいるところです。 立体街路は子どもの遊び場としても随分活用されています。

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図37 自転車も乗り回す 図38 誕生パーティーとプール遊び 図39 コミュニティの風景
 

改行マークNEXT 21の子どもはみんな立体街路で三輪車も自転車もマスターしています。 図37の子どもは入居されてきて数ヶ月後に生まれたのですが、 三輪車を覚えて自転車を覚えかけたところで退居していきました。 これは3階ですが、 回遊性のある空間では、 自転車とか一輪車も多く見られ、 プール遊びも盛んでした。

改行マークまた図39の奥さんがNEXT 21のコミュニティでみんなに頼られていた方ですが、 子どもさんとよく遊んでおられました。

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図40 ビデオ画像(1)
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図41 ビデオ画像(2)
改行マークこれはビデオ画像です。 家の中と家の外で会話をしているという光景が見られましたが、 これは普通の集合住宅の共用廊下ではあり得ないことだと思います。 住戸の表情が外に表出していているからこそ、 こういう行動が起こるのではないかと感じています。

改行マーク立体街路についてはこのように街路空間としてある程度使われていましたが、 一方でセキュリティについてはいろんな指摘がありました。 立体街路空間で楽しんだ同じ人が、 やはりオートロックがないと不安だと言っている場合もあって、 非常に難しいところです。 ただ、 入居者の中には、 視線によるセキュリティという話を事前に聞いていて、 本当かなと感じていたけれども、 退居するに当たって、 そういう事が本当にあるということを実感できたと発言された方もいらっしゃいます。

改行マークNEXT 21では、 誰にも見られない死角となる立体街路部分をできるだけ少なくしたわけですが、 それを入居者の方に実感していただけたのは、 よかったと感じています。

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