都市計画課が市町と接する日頃の業務の中に「人間サイズのまちづくり」を活かしていくために、 都市計画課全員で、 都市計画に活かす「人間サイズのまちづくり」の検討を進める。
都市計画法では「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、 もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与すること」を目的として、 土地利用、 都市施設の整備及び市街地開発事業について取り扱うこととしている。
都市計画決定による都市圏サイズのまちづくりと都市計画決定になじまない人間サイズのまちづくりを整理する。
これまで都市計画課が深く関わってきた都市圏サイズのまちづくりについて、 市町への計画権限の移譲が進み、 都市計画課が培ってきた都市計画的な考え方や技術を、 これまで都市計画課の関わりが少なかった人間サイズのまちづくりに活かしていくことが重要となる。
このためには、 単にSMAILZの検討成果を示すだけでなく、 都市計画課自体が人間サイズの具体的な考え方を持って市町に接することが必要と思われる。 そのためには、 課員全体の議論を深め、 課としてSMAILZに取り組む過程を明確にすることに作業の重点を置くことが必要ではないか。
課員へのアンケートの中で「この結果がどう反映されたのか、 また何故取り入れられなかったかを明確にするように」という要望もあった。 アンケートの結果分析を課内で公表することを通じて都市計画課が「人間サイズのまちづくり」に対しどの程度の力量を持つかを明確にすることが「人間サイズのまちづくり」に取り組む第一歩となろう。
なお、 都市計画区域外での都市のあり方について、 都市計画中央審議会でも議論が行われ、 まちづくりにおける全国的な課題となりつつある。
また、 まちづくりの牽引役である市町に対し、 具体的なまちづくりの考え方の基本となるハード、 ソフトを含めた資料を、 まちづくり条例をフォローするガイドラインとして示すことが県に求められている。
〈対象地区〉
兵庫県における「まちづくり都市計画」の検討について
I SMAILZ-「人間サイズのまちづくり」の都市計画的検討
(1)検討の趣旨
「人間サイズのまちづくり」を具体的に都市計画の中で表していくためには、 県、 市町、 住民が共通の認識のもとにまちづくりに取り組むことが必要である。
(2) SMAILZとは
平成10年度に計画課で設けたキャッチフレーズ
S: Safe 安全で
M: Mature 成熟した
A: And
I: Intimate 親密な
L: Life 生活
Z: Zone 地区
(3)まちづくりと都市計画の枠組み
1.都市計画とは
建築大辞典によると「生活の便宜、 能率・福祉などの増進、 生産活動の効率向上を図るために、 その都市にとって基本的な幾つかの要素によって、 都市の機能配置や構造を整えようとすること」と定義されている。 何を基本的要素として理解するかによって、 作られる計画の現実性・思想性・効用などが異なってくる。2.都市計画技術のまちづくりへの活用
こういった枠組みは「まちづくり」における技術的な側面について欠くべからざる要因であることに鑑み、 都市計画の技術を活用したまちづくりの推進方策を検討する。3.名称について
都市計画手法によらないまちづくり施設のあり方を、 現在「まちづくり都市計画標準(仮称)」と称している。 以上の枠組みの検討から、 SMAILZの作業成果のイメージは「まちづくり技術指針」と呼ぶ方がその内容をより適切に表現するとも考えられる。
(4)「まちづくり都市計画標準(案)」作成作業イメージ
都市計画決定による「都市圏サイズのまちづくり」に対し、 SMAILZは、 都市計画決定という手法になじまない「人間サイズのまちづくり」として区別できる。
(5)まちづくり都市計画標準の必要性
1.都市計画とまちづくり都市計画の関係
「人間サイズのまちづくり」は、 これまでの都市計画と異なり県民の活動の場としての「まちづくり」に関しハード・ソフトにわたる生活者の視点での計画づくりを全国に先駆けて提唱したものであり、 まちづくり基本条例は県が率先してこれを施策展開することを宣言したものである。
都市計画:都市計画法に基づき都市計画決定の手法を使い、 都市の形成に関する技術を活用して(1)都市の土地や施設(土地利用・施設配置の計画決定)、 (2)環境(計画決定に伴う活動・安全に関する事項)、 (3)地域((1)、 (2)を総括した国土・地方・都市圏・地区等の空間レベル)を対象として行う計画。
まちづくり都市計画:都市計画法に限らず、 「安全」「安心」「地域の魅力」を育成するためにまちづくり基本条例の主旨を踏まえ「人間サイズのまちづくり」を実現するため、 市街地のみならず都市計画区域外の「まち」をも対象とした身近なまちづくりの計画。
2.都市計画課が持つまちづくり都市計画の技術
市町と共同して、 個性豊かなまちづくりの実現に向けて、 まちづくり基本条例の具体化のためには、 従来の都市計画の技術に加え、 市町の意向や住民の意見をふまえて地域の特性に応じたまちづくりのための技術的な標準(ガイドライン)を作り上げることが必要である。3.「人間サイズのまちづくり」実現に向けて
現在、 独自にまちづくりを進めている地域等の計画づくりに対して、 県によりコンサルタントの派遣等が行われているが、 「人間サイズのまちづくり」の提唱者としてこれにより目指す具体的な考え方を示すことが必要である。
II 検討の経過と成果
(1)ケーススタディ・アンケートの実施
「人間サイズのまちづくり」の診断と検証として以下の3地区を対象に都市計画課員全員にこの計画に役立つと思われるコメントを、 施設ごとに自由に記入してもらった。
このコメントを一覧表に整理し、 まちづくり都市計画標準(案)の材料として整理し、 それを各記入者にフィードバックをして再度、 整理を行った。
(2)ケーススタディ・アンケート結果の概要
III いままでの都市計画とまちづくり都市計画(「広義と狭義の都市計画」)
IV まちづくり都市計画検討のテーマ
(1)都市計画の潮流(トレンドと兵庫県都市計画課の役割の確認)
1.まちづくりと都市計画の関係
2.分権化における県都市計画の役割
3.県における都市計画技術の継承と発展
(2)具体論として
1.都市計画区域外の都市化の扱い
2.まちづくりに必要とされる計画技術
3.「まちづくり都市計画(仮称)」が目指すべきアウトプットについて
(3)今後の「まちづくり都市計画の進め方」について
都市計画としての連続性と住民に密着した計画技術への対応に対する国・県・市町の役割を関係づけていく方法について。
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