我が国の都市デザインが置かれている状況を考えると、 いくつかの問題があると感じます。
まず、 全貌がきちんと理解されていません。 例えば進士先生はランドスケープデザインに関する本のなかで都市環境デザインについて書かれていますが、 道路の舗装とか植栽とか建物の意匠とかいった、 都市空間の表層を一生懸命やることが都市デザインだと捉えられている部分があり、 気になりました。
都市デザインは、 1950年代の終わり頃から主としてアメリカでスタートしました。 ハーバードではアーバンデザイン、 ペンシルバニアではシビックデザイン、 バークレーではエンバイロメンタルデザインと呼び、 それぞれ若干の特色はありましたが、 やっていることは全て同じで、 都市の空間を構成していくこと自体でした。 景観の形成よりも空間を構成していくことが都市デザインであり、 また、 それを政治的経済的な手段を通じて具体化するのが都市デザインだというのが根本的な考え方です。
それに対して我が国の場合、 最後の段階で一生懸命やることが都市デザインだと捉えらる傾向が今でもあります。
都市デザインの体系がきちんと共有されていないため、 間違った段階で間違った努力をすることもあります。 また大勢の人が関わるのですが、 参加しているデザイナーがそれぞれの思いでお互いにぶつかり合い、 かみ合わないことも多々あります。
以上から、 都市デザインについて体系的に考えてみなければならないと考えました。 このことはこの3月には本になる「都市再生の都市デザイン」の主題でもあります。 336ページの本ですが、 今日はその大筋について、 スライドをお見せしながら説明したいと思います。
都市デザインの問題点
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