II-2 ピサノローク〜スコタイ〜ラムパーン〜チェンマイ

1.ピサノロークの水上生活
 9月1日(金)、バンコクから空路41分、13:23 ピサヌロークに着き、旅行会社のミニバスの迎えを受ける。鉄道駅もあるこの町には、「タイで最も美しい」仏像が祀られているというワット・プラ・シー・ラタナー・マハタートの門前に車をつける。チャオプラヤ川の支流ナーン川の左岸にある寺で、寺のある側は堤防の改修がされてコンクリートの護岸となっているが、右岸にはまだハウスボートというより、浮き住宅といった風情の船が並んでいる、その間の水面をペーロン風の櫂船が漕艇の練習をしていた。

 寺の前には川魚や雀、亀を売っている物売りが数組いる。お金を出して放してやることにより供養をする、落語「後生鰻」の世界である。鳴海先生、大矢さんが「供養」したが、篭から放たれた雀は名残惜しいのか、飛び立たないで地面を歩き回っている。

2.スコータイ遺跡公園
スコ−タイは、チャオプラヤ川つまりメナム川の支流ヨム川流域に13から15世紀に栄えたタイ族の最も古い都城である。カンボジアのアンコール王朝の支配下にあった土候が興起して1220年頃に建国したタイ族最初の王朝ということで、仏教を伝えてきた。
 スリランカ、ビルマ、クメール等種々の文化が入り交じった遺跡である。車はまずワット・シー・チュムに着けられる。大きな露座の仏像は、かなり修復され遺跡と崇拝対象の中間的な存在なのか。管理事務所、土産物屋の横に老婆が鳥の巣とか魚取りの民芸品を売っているが、あまり売れないようだし、売る気もないといった風情である。

3.ワット・ブラ・バーイ・ルアン
ワット・マハー・タートは現在のタイにつながる基礎をなしたことで名高いラムカムヘーン大王の王室の寺院で、一辺210mの濠に囲まれた中に多くの寺院、仏塔、王宮跡がある。先端にハスのつぼみをイメージしたといわれる飾りを持つ仏塔は、スコータイ独自のものという。ここでスコールに遭う。有光さんは、スコールの中を悠然と歩く鳴海先生を被写体に「雨中」を撮る。

 遺跡全体が1991年に世界遺産に登録され、スコータイ歴史公園としてなかなかよく整備されており、料金所が3カ所あった。
 ガイドの話では、毎年11月にバナナの葉で作った船に蝋燭や線香を乗せて川に流す日本の灯籠流しに似た行事がタイ全土で行われる。この水の精霊に感謝を捧げる伝統の祭り発祥の地がここスコータイであるとのことである。
 17:30 パイリンスコータイホテルに着く。スコールの余韻が残るこの夜は、ホテルのレストランで多くの種類のタイ料理にトライした。
 さらにエレクトーンの生演奏で唄う2人の女性歌手の間に割り込んで鳴海・大矢・有光・斉藤・難波は23:30まで日本の歌の国際普及に努める。
(格式あるホテルのメインダイニングを占拠した、日本人団体客のあまりの傍若無人さに他の宿泊客もあきれていたのでは。)
4.ランパーンのショップハウス
車はここからひたすら走り続ける。道を東に取ってウタラディットで昼食を取るという話であったが、山越えをきらった運転手は北上の道を取ったということで、昼食の取れる店に行き当たったのは14:00、沿道の大衆食堂を楽しむこととなった。
 さらに1時間走ってランパーンに立ち寄る。木造2階建てのショップハウスが商店街を形成しているようにも見える一方、コンクリート系の3階建てを、有光さんは「市街地改造事業による共同化」と言われた。

 ワット・プラ・タート・ランパーン・ルアン、北部タイで最も美しいというふれこみでガイドが立ち寄ることを勧めてくれた、赤瓦で葺かれた回廊に囲まれた壁のない本堂に仏像が安置されている。これは遺跡というより生きた寺院という感じで、カップルが何組か来て堂内でひざまずいていた。
 ここでまたスコールに送られ、チェンマイプラザホテルに到着したのは17:50、あたりはすっかり暗くなっていた。
5.チェンマイのナイトバザール
ホテルにチェックインの後、バンコクから来られた西さん、森さん両名と合流する。
 全員(8人)でオールドチェンマイ文化センターへ出発、タイ北部のカントークショーを見ながらの食事を楽しむ。
 食事の後は、同センターの車でチェンマイの中心部まで戻り、ナイトバザールを見学する。有名ブランドのコピー商品が、大きな顔でワゴンに並んでいる。あっけらかんと「パクリ物」であることを表明していると、それなりに納得して買えば良いので、値切りを楽しむ。ここでは土産用のネクタイや、ご当地風のシャツを何人かが購入されました。

6.チェンマイ市内
チェンマイ市の中心部は正方形の城壁と水路によって囲まれた地区である。この正方形の地区を取り巻くように市街地が広がり、さらに外側に環状道路が外周を取り囲む格好になっている。
 さて、タイ最後の日、チェンマイでの午前中は、ボーサーン(工芸村)に全員で出発。比較的近傍に、銀細工、傘、絹織物、皮革製品など伝統工芸の展示販売施設が集中した地区である。ここで、ひとしきり土産物を物色し、購入する。

 全員で市の郊外にあるハイアット・リージェンシーへ移動、ここで昼食を採る。
 庭園のデザイン処理はオーストラリアのデザイナーに違いない(辻本説)らしく、ホテルのオペレーションとランドスケープや施設配置がハイアットのノウハウで統一されており、リゾートとして洗練された雰囲気となっている。ちなみにタイ人のガイド氏によると、このホテルの料理はタイ人には量が多く、辛さが不足しておりパンチがない。どうも味付けは物足りないということであった。タイ飯になれつつある我々一行にも同様であり、うまいことはうまいが味付けに物足りなさが残った。


ハイアットリージェンシー
昼ご飯の後は、市内でいったん解散して町歩きを楽しむ。各自の体力や関心に応じて、ホテルで休憩したり、買い物をしたり、町歩きをしたりと、それぞれの午後を過ごすことにした。

 市内では、伝統的な建築意匠を復元・継承するかのような建築がいくつか見られた。市内の名所的な寺院の周辺では、日本の伝建地区のような建築制限があるのではないかと思われた。右2枚の写真のように、小さな母屋を複数つけた意匠の建物が多く見られた。
 右下の建物の1階にはモダンなカフェがテナントとして入居している。

 総じてチェンマイ市内北部はタイの中小都市として、落ち着いた雰囲気があり好感が持てた。中国国境などへのトレッキング基地でもあり、観光地としても人気がある。ヨーロッパからの白人観光客も散見した。ヨーロッパ人の好みそうなアジア風(エスニック)ショップもあちこちに見られた。


市場風景

唐辛子屋
 夕方になりホテルに集合、チェンマイ空港に向かう。チェンマイ空港で最後のラーメン(バーミー:黄色い面)を全員で食べ機中に乗り込む。
 バンコクでのトランジットを経て、早朝大阪に戻る。



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