III 印象記
1 JUDIタイセミナー参加印象記  有光友興

バンコック水上集落を専用ボートより視察したのが今回セミナーのメインイベントでした。JUDIメンバーが満足するようにと気配りした西さんの設営に深く感謝します。次々に現れる様々な住居形態、景観を船上から見ることができ、JUDIならではの視察だとあらためて感じました。
環境共生について
 水上或いは水辺生活者は、正に自然との共存である。そこにはそれなりのデメリットもある。今後、都市施設の整備に伴い都市化が進むと思われるが環境共生は維持されるであろう。これに対し、都市化された市街地を自然と環境共生するまちにすることは、はるかに難しいことと感じた。
景観について
 水上生活者のための店舗(よろずや-コンビニや食堂)がところどころ現れてくる。写真を撮ろうとするがタイミングを失する。気がつくと看板がないのである。景観上からの規制とは思われない。利用者に存在を知られているので必要ないのであろう。しかしいずれの店も規模は小さく暗い。サインを出して明るくすればシャレたお店になると思った。
仏教国の特殊景観
 水上居住が続く川沿いに、ある間隔を置いてキンキラキンのお寺が現れる。住居がどちらかと言えば地味な外観に対してスケールも大きく極彩色系でアンバランスな景観である。お寺は学校や広場、集会所(?)など地区センターの機能をが現れた景観であろう。持っているようである。個人生活を質素にし、お寺に寄進する敬虔な国民性が現れた景観であろう。
様々な住居グレードの混在
 川沿いの水上生活には、豪邸、高級住宅、中級〜庶民住宅、見るからに低所得者の住宅、廃家のような建物まで様々な規模、グレードの住宅が混在して現れる。当初は同じような建物が並んでいたが、時間とともに現在の状態になっていったのであろう。水上集落と一口に言っても水上生活を楽しんでいる人、水上生活に慣れ親しんでいる人、水上生活しか出来ない人等、様々な生活者で構成されているようである。
スコタイ遺跡公園
 13〜14世紀に築造された石と煉瓦の都が柱と塔頭だけになっている。川の氾濫によって削り流されたと聞くが紀元前の遺跡のようである。あらためてタイの雨量の多さを認識した。それにしても広大な遺跡を緑豊かな公園に整備し、修復を加え観光資源にしていることは敬意を表する。
ランパーン市街地
 チェンマイへの途中寄ったこの街の商業は活気に溢れていた。日本の防災建築街区造成事業そっくりの連軒式住居併用店舗の商店街、その前の歩道、車道を問わず商品(主として食材)を並べる店々で路上は市場のように賑わっていた。そんな道に車も通っているがバイクが主流であった。
チェンマイ城壁内の街
 最終日で多少疲れていたので昼食後私一人ホテルラウンジで休憩をとったのだが、ここは見ておかなくてはとトゥクトゥクに乗り約40分で見て廻った。一辺約1.8qの城壁内は、緑豊かな落ち着いた住宅街があったり、外国人がスポーツをしている学校や洋風建築(公共施設か)が散見されたことなどから一種居留地の雰囲気を感じた。城壁を取り巻く堀の両岸は、緑の樹木で整備されたプロムナードになっていた。城壁外から内へは車の直進をさせずショートカットの通過交通を抑制するなど、この地域を保全しようとしていることがうかがえた。
タイの食事

トムヤムクン
 タイを訪れるのも、タイ料理を食するのも初めてである。タイ料理は激辛だが旨いと聞いている。期待半分、不安半分での出発であった。結論から言うとバンコクでのあの辛さが今や懐かしい。又、行く機会があったら今度はゆっくり、じっくり辛さを味わいたい。
 ともあれバンコク初日夕食から辛さに参ってしまった。結果的には用心不足であったのだが、唐辛子やしょうがの薬味を付け過ぎ、舌がしびれ涙が出て口もきけない状態になってしまった。残念なのはトムヤムクンの酸っぱ辛さが好きになれなかったことである。タイ料理は、所詮トムヤムクンが味わえなかったら話にならない。他の料理は既ね大皿、中皿に盛られてきたものを取り分けるのだが、トムヤムクンだけは一人づつ小さい土鍋に入れられてくる。今回は、帰るまで殆ど毎夕食出てきたが一口ぐらいすするだけでやめた。旨さがわからないのである。一度トムヤムクンと真剣勝負して味を見極めたい。きっとやみつきになる料理に違いない。

バンコク2日間の夕食
 初日が民芸風レストラン、タイ音曲の演奏付きでラオス料理(タイ料理との違いはわからない)、2日目はタイの帝国ホテルクラスというバンコクスコタイホテルのレストランでセミナーを兼ねてタイの学者、政府役人を交えた約20名の会食、本格的タイ料理であった。2日間共多種類の野菜を調理した栄養バランスのとれたものであったが、不用人のため辛さに惨敗してしまいせっかくの料理を味わうところではなかった。一人用のおひつ(むろ)に入ったもち米のごはんが救いであった。
3日目、4日目の夕食
 バンコクから北に行くに従い、料理に辛さがなくなっていた。3日目スコタイパイリンホテルレストランの夕食は、タイ料理、中華料理、西洋料理と何でもありのメニューで各人が好きなものをオーダーした。私はコーンスープにしてタイ料理を一休み。4日目のチェンマイの夕食は、民族舞踊を鑑賞しながらのタイ料理。ここまで来ると料理自体に辛さはなく薬味で各人が好みの辛さにする。バンコクでの辛さが懐かしくなり用心深く薬味を付けるが油断すると舌がしびれ、もち米のお世話になる。料理自体はレストランシアターにありがちな一般的なもので、バンコクスコタイホテルの宮廷料理が偲ばれた。ともあれ、4日間お腹をこわすことなく過ごせたのは幸運だった。

JUDI関西海外セミナーについて

セミナー幹事
 関西ブロックセミナーは国内・外を問わず鳴海セミナー委員長と相談しながら誰かが幹事役を名乗り出て成り立っている。持続していることに関西ブロックのパワー(根性)を感じる。海外セミナーの幹事役は、行先のセミナー設営世話役との連絡もさることながら原則個人旅行のため参加メンバーの行動把握にエネルギーを要するようである。今回は堀口浩司さんが幹事役と共に勘進元もしてくださりすっかりお世話になりました。感謝致します。今後共、この自由なスタイルのセミナーが持続するよう願うと共に参加メンバーは幹事役の負担を少なくするよう心掛けましょう。

現地との交流
 海外セミナーには、イタリアメルカテッロ、ブラジルロンドリーナに次いで3度目の参加であるが、やはり都市環境デザインに関する現地との交流があった方が良いと思う。メルカテッロは井口さんが現地人であることもあって最も交流の実感があった。ロンドリーナでも鳴海・ヤマキ両先生のご配慮で発表の機会を持てたので充実感があった。ブラジルの若いプランナーに六甲道再開発でのアーバンデザインのプロセスを話せたことは快い思い出である。今回のボート視察も有意義であったが、こちら側からのプレゼンテーションがなかったのが少し物足りない気がする。皆さんいかがでしょうか。

次回(来年)に向けて
 私の目下の関心は住民参加のまちづくりと環境共生型都市デザインです。もちろん美味探求は生涯のテーマです。今から楽しみにしています。


左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見はJUDI

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ