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環境先進国と言われているドイツでは、 環境首都というコンテストをやっていて順位を競っていると聞いたことがあります。
先程のお話で、 ダルムシュタットでも、 路面電車や自転車をできるだけ使って自動車交通を減らすとか、 緑化するとか、 いろんな環境共生のための努力をしていました。 ダルムシュタットを含めてどれくらいの自治体が環境首都コンテストに参加しているのか、 そのあたりをご存じであれば教えていただきたいのですが。
春日井:
環境首都という言葉は、 日本のジャーナリズムがジャーナリスティックに取り上げているだけで、 ドイツ人に聞いても知らない人がほとんどだと思います。
実際、 今どこの都市が環境首都なのか私は知りません。 ドイツではコンセンサスはあまりないと考えてください。
春日井先生は、 今都市計画事務所をダルムシュタットとフランクフルトでやっておられますが、 日々どんなお仕事をされているか、 具体的にイメージしてみたいので、 よろしければ参考までに教えていただけますか。
春日井:
私の事務所は建築と都市計画と両方やっています。
以前は都市計画の仕事もありましたが、 東西ドイツの統一以降、 都市計画の予算は西側ゼロになりました。 西側は都市計画が済んだという考え方で、 東側で重点的に都市整備が行なわれています。 今は役所から都市計画の仕事を受けることはほとんどありません。
大変つらい状態ですから、 都市計画としては日本の企業とか公団の調査などで、 その他建築を主にやっています。
例えばベルリン工科大学の建築学科の学生で、 卒業してすぐの人はどんなことに関心をもっているのでしょうか。 自分もトップアーキテクトのようにどんどん設計したいと思っているのでしょうか、 それとも今日のテーマのように住民の中に入ってやっていこうと思っているのかについてはどうでしょうか。
春日井:
ドイツの建築教育の方向が間違っているんです。 トップアーキテクトになるような教育だけをずっとしています。
せいぜい1%に満たない卒業生が独立でき、 あとは事務所の下働きだと言われているんですが、 私達なんかも入ったとき先生から「独立を夢見るな」とはっきり言われました。 ドイツは教養課程がありませんから、 平均卒業まで7年くらい、 最初から最後まで設計の演習ばかりです。 ですから、 センスのいいのは、 建築学科を出る頃には先生よりもずっと上手く設計します。
でも、 彼らがその腕をどう活かしていくのか。 最初の2、 3年は何とかコンペでやっていこうと頑張るんですが、 資金がなくなって落ちこぼれていくというのが実体のようです。
今日は春日井さんのお話をいただきました。
お話のそこここに、 ドイツ的な計画論がかいま見えて、 日本の計画の発想と根本から違うんじゃないかという気もしました。 以前春日井さんとお話しした時、 「日本のいいかげんなところもいいな、 ドイツはちょっときつすぎるかもしれない」とおっしゃったことを思い出しました。 盛り場の景観など、 日本の方が活気があっていい、 というニュアンスでした。 お話を聞きながら、 日本の都市空間の特徴が、 知らず知らずの内に消えていっているのではないだろうかと思いました。
今日はどうもありがとうございました。
環境首都
太田:
春日井先生の事務所の仕事内容
三好:
ドイツの若い建築家や都市計画家の関心事
三好:
ドイツでは、 これから10年20年頑張っていこうと思っている25から30才くらいのアーキテクトとかプランナーの最大の関心事は何でしょうか。
おわりに
鳴海:
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