Bプランに住民がどのような形で関与しているか、 どのような範囲の住民に意見を聞くのか、 Bプランをかける対象をどのように決めるかなど、 簡単にそのプロセスをお教えいただけないでしょうか。
春日井:
Bプランは、 小さな範囲の場合でも、 つくり始めてから終わりまで2年くらいかかります。 また、 全地域につくるわけではありません。 フランクフルト市の場合は、 頑張って市内全域にBプランをつくろうとしましたが、 この10〜20年はあまりつくらなくなりました。 結局、 あまりにも時間がかかることと、 もう一つ、 誰かが文句を言ってきてBプランそのものが無効になることもあって、 問題が多かったのです。
Bプランつくるときは、 ざっと草案をつくっておいて、 公聴会にかけ、 住民に説明します。 必ず二つくらいの案を出して、 それぞれの長所と短所を説明します。 原案をつくる前にもまた説明会をします。 こういった形で住民の意見を採り上げながらプランをつくっていきます。
(なおBプランと市民参加については『人と街を大切にするドイツのまちづくり』145ページを参照してください)。
僕はFプラン(土地利用計画)がある都心では、 Bプランがかなりできているものだというイメージをずっと持っていました。
小さな単位でも2年かかるというお話だったんですが、 そういうとき、 行政側がどういう優先順位でBプランを描くところを決めるのか、 また、 住民に言われて描くのか、 その辺をうかがいたいのですが。
春日井:
Bプラン(Bebauungsplan:詳細計画)は基本的に、 普通の住宅とか商店街とかいった、 普通の状態のところにはつくりません。 Bプランは「この地域を現状よりも違った方向に誘導していこう」という場合に描きます。
Bプランを描くか描かないかは役所の都市計画の単独決定であって、 住民から強制するとか頼むといった圧力でどうこうということはありません。 もちろん、 それは建前ですが。
建物の形の揃えるべき高さ、 壁面の位置は何を根拠に決めればいいのでしょうか。
日本の場合、 比較的新興の都市はたいてい一回しか建て替えを経験していませんし、 一回も経験していない地域もありますから、 何を根拠に決めればいいのかが難しいのです。
Bプランの輪郭線、 建物の外郭を決めていくときは、 根拠を何に求めたんでしょうか。
春日井:
地域で新しい計画をつくる場合、 まず私たちはha当たり何人入れるか考えることから初めます。 それから、 敷地とか道幅とか家の高さを決めていきます。 だいたい、 道路に沿って前庭を取るなり後ろをあけるなりして、 決まってきます。
お金持ちが住んでいるいい住宅地には、 元々いい環境があります。 ドイツでは、 そういった環境を守るために、 行政側から「ここがいいところだからこうしよう」と位置づけられて、 自治体が主体となってBプランの計画が策定されると思うんですが、 日本では建築協定という形で、 住民側からいい住宅地の環境を守ろうとしているところがあります。
住民側からBプランをかけてくれという話はあるのでしょうか。
春日井:
ちょうど今、 ダルムシュタットで、 お金持ちが住む住宅地で住民側から起こった環境保全運動があります。 私が今回日本に帰ってくる直前まで、 喧喧諤諤でした。
お金持ちの地域に一つだけ敷地が空いていて、 そこにかなり大きな建物が建てられたわけです。 それで周辺の人が建築違反じゃないかとか、 法律ではあっているとか、 法律の解釈が違うとか、 裁判沙汰になっています。
普通よりちょっと大きめのものをつくるとか、 自分の敷地周辺の環境が乱されるのを、 住民は嫌がっています。
(なおBプランが住民の作られることはないのは先に述べたとおりですが、 ある人が政治家を動かしてより大きな建物を建てるためにBプランを策定しようとし、 住民によって現状保存的なBプランに変更させられた事例については『人と街を大切にするドイツのまちづくり』150ページを参照してください)。
Bプランの実際について
Bプランの住民参加プロセス
北野:
Bプランを描くきっかけは何か
北野:
街の「輪郭線」の決め方
堀口:
住民側からの住環境保全の働きかけ
太田:
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