クライアントに「どうしたらいいでしょう」と聞かれたとき、 頭の回転のいい人はいくつかのパターンをぱっぱっと出すかもしれません。 しかし決めるときになって、 優柔不断に「こういう絵も描けるし、 ああいう絵も描ける、 どっちにしましょうか?」とご用聞きのような仕事をしていては、 なかなか専門家として評価されません。 「こういう絵も描けるしああいう考え方もできる、 だけどこの考え方でいきませんか」と自信を持って言えないと、 “決めたこと”になりません。
これを僕にいってくれた人はどんな意味でいってくれたか分かりませんが、 僕の中では“決めること”のイメージがかなり広がってきて、 「計画設計を仕事としながら、 独立して事務所をもち、 自分の価値観をもって“決めること”ができ、 世間から評価してもらえる仕事をしよう」と思うようになりました。
勉強すれば、 「こういうときはこういう考え方、 ああいうときはああいう考え方がある」といくつでも選択肢はつくれます。 ところが、 実務の世界ではお金の問題も、 組織の問題も、 立場の問題もあります。 「人以上にものを見ているから、 これを強力に推薦することができる」と言うことができないと仕事にはなりません。 学生時代に「そういう問題を避けずに、 実務を徹底的に経験しよう」と思いました。
それ以来、 “決めること”ができる建築家、 都市計画家、 アーバンデザイナーになるために、 どういう修行をして、 どういう情報を身につけて、 どういうネットワークで動くとより高次に決めることができるか、 常に気にしながら動いてきました。
専門家として「決める」ということ
22、 3才の頃、 「三好君、 計画設計とはどういうことをやるか分かっているか?要は“決めること”だよ」と教わったんです。 その人に言われた瞬間、 このキーワードが脳裏にこびりつきました。
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