いろんな場面でいろんな困難にぶち当たりながらも、 今までのような仕事をしてきました。 報告書だけで終わっている仕事の中でも概念としては面白いことを提案しているつもりなのですが、 やはり守秘義務がありますので、 報告書だけの仕事はこういう場でなかなか言えない場合が多いのです。
今まで見てもらったのは建築を中心とした仕事ですが、 それ以外の住民参加型のまちづくりに関してあまり触れることができませんでした。 これについては建築資料研究社から『まちづくりへの新発想』という本を出していますので、 よろしかったら目を通して下さい。
本業以外に今気になることと言えば、 都市環境デザインが市民権を得て広がっていくためには、 都市環境デザインが大切なことだと市民に思ってもらわないことには始まらないということです。 いくらJUDIの中で熱心に話し合っても、 それだけではマーケットとして効果がないんです。 やはり、 市民に対するPRや教育が必要だと思います。
豊中市では中高生向けの「まちづくり講座」が数年前から行なわれています。 これは僕が提案したことを豊中市が受けてやっていただいているもので、 僕も時々応援しています。 やはり「公共性をはぐくむ」ためには年齢的には小・中・高校生の間の教育が大切になると思います。 今は学校の後は塾だなんだと忙しくなって社会に目が向かなくなるのが実状じゃないかと思います。 実際、 今の忙しい中高生の目をまちづくりに向けさせるのは一苦労で、 なかなか人が集まらないのが残念なのですが、 僕自身はまちづくりの視点はこれから必要になると思っています。 中には「総合的学習とはこういうまちづくりの視点から見るべきものではないか」とおっしゃってくれる中学校もあって、 豊中市のまちづくり講座を注目してくれる人もいます。
それとエコデザインネットワークという組織にも関わっています。 これからは地球環境のことを考えてデザインせざるを得ないだろうと思い、 仲間と一緒にNPOを立ち上げました。 JC出身の関西の企業家とネットワークを組みながら、 プランナーやデザイナーと共にエコデザインの普及を考えていくものです。
都市デザインや建築デザインの世界ではこうした考えがとても遅れています。 これは、 機械産業が大量生産から廃棄までを考えていくシステムなのに比べ、 都市や建築は一品生産なので先のことまで考えてないということだと思うのですが、 エコロジカルなもののありようはこれから避けて通れなくなるでしょう。 僕もまだよく分からない部分が多いのですが、 勉強しつつやっている次第です。
最後になりましたが、 都市環境デザインを少しでも広めていくためには、 僕の言葉で言うとマーケットをどう作るかにかかってくると思います。 僕ら実務家は、 そのセンスを常に持っておくことが大事でしょう。 また、 若い人たちがこちらの世界に来てくれないと後が続きませんので、 今この世界にいる先輩達は若い人たちが入って来たくなるような魅力を持っていないといけないと思います。 しょぼしょぼとやっている世界に人は入りたいとは思いませんから。 ですから、 この世界の魅力をどう伝えるかを考えることも必要でしょう。 僕の事務所には若いスタッフは何人かいますが、 彼らの個性が発揮できるような専門家になってほしいと思いつつ接しています。
都市環境デザインにはいろんな切り口がありますから、 建築学や都市計画学を修めなければできないというわけではありません。 それぞれの時代にマーケットを広げて面白い活動を繰り広げていくものですから、 僕もその一端を担えればと思います。 これで僕の話を終わります。
おわりに
このページへのご意見はJUDIへ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai
学芸出版社ホームページへ