都市環境デザインの仕事
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ハウスメーカーの役割とは?
その社会性について

 

増田

 今日はハウスメーカーからの都市環境デザインへのアプローチというテーマでお話しさせていただきます。 ただハウスメーカーと言っても様々ですので、 あくまでナショナル住宅の場合ということで、 お聞きいただければと思います。


ハウスメーカーの役割

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業界が協力し合ったまちづくり 緑陽ハイツ
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緑陽ハイツ
 ハウスメーカーは、 みなさんご存知のようにたくさんの家を建てています。 ナショナル住宅で年間2万4千戸、 トップメーカーともなると年間5〜6万戸にのぼる数の住宅を建てています。 オランダの新築件数が国全体で年間6000戸ですから、 日本のハウスメーカーの建てる数がいかに大変な数字かがお分かりになると思います。 このものすごい数が良いことなのか悪いことなのかは、 よく議論されることですが、 とにかくこれが日本の現実なのだということは認めなければなりません。

 ですから、 ハウスメーカーは一人一人の注文住宅を建てているつもりでも、 年間にすれば何万戸という家を建てているのですから、 1本1本の木が集まって森になるように、 これだけの数の家を建てているからには、 街をつくっているのと同じだと認識すべきなのです。 ハウスメーカーがまちづくりをしていると言うと異和感を感じる人もいるでしょうが、 私自身はそのことにこだわって仕事をしています。


ハウスメーカーが協力して行ったまちづくり

 ハウスメーカーというと、 展示場にそれぞれモデルハウスを建てて「どうぞ我が社の家を買って下さい」と、 激しく客引き合戦を繰り広げているイメージがあろうかと思います。 しかし、 時には各社が協力し合って、 まちづくりをする場合もあるのです。

 この写真は、 熊本県の緑陽ハイツです。 熊本県の住宅供給公社が県の土地を75区画に分けて建て売り住宅を売りたい、 ついてはプレハブ業界にまちづくりの提案をして欲しいという依頼がありました。 各社いろんな案を出した結果、 私どものE & A設計が出した案が採用され、 私共がまちづくりを担当することになった次第です。

 写真に見える住宅は同じように見えるかも知れませんが、 17社の建物をコーディネートしたものです。 業界が協力し合って、 低層の戸建てをまとめてまちづくり提案をした事例です。

 まちづくりにもいろいろな視点がありますが、 私が今日お話しするのは、 このような戸建て集住体としてのまちづくりです。 幸い、 この事例は第6回みどりの都市賞・建設大臣賞をいただき、 1992年には熊本県の景観奨励賞もいただくことができました。 町並みを作るために家々が共通する部分を持ったり、 各戸で自由にしていい部分を考えたりして全体のコーディネートをしていった事例です。

 ちなみに、 私共ではプレハブではなく「ハウスメーカー」という言葉を使っています。 我々が作る家を「プレハブ」というのは、 もう時代遅れだと思います。 「プレハブ」は家の部材をあらかじめ工場で生産しておくということで、 戦後とにかく家がないときに「とりあえず早く家を作ってくれ」という政府の依頼で出来た業界です。 しかし、 今の我々にとってはプレハブは家の供給手段に過ぎず、 「とりあえず早く」とは違った視点で家づくりをしていこうとしています。 ですから「ハウスメーカー」という言葉を使うのです。


よく用いるまちづくりの手法

 我々が手がけるまちづくりの手法は、 もうすでに一般化されているものも多いのですが、 次のようなものです。

 以上がハウスメーカーが協力して行うまちづくりです。 競合もしますが、 綺麗なまちを作るために各社が合意してお客さんにすすめてもらうというやり方をしています。


建物のエクステリアについて

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屋根のフォルム、 窓のデザイン
 各社それぞれいろんな材料を使っていますし、 お客さんの好みによって屋根の形や窓のデザインも違ってきます。 そんな屋根の形状と色彩、 窓の形を組み合わせながら家並みを作っていくのが、 コーディネートの手法になります。

 ハウスメーカーのまちづくりを簡単に言うと、 こういうことになります。 多少はご理解いただけたでしょうか。

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