緑としての建築
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残された課題

 

 アーバネックス中京という実際のプロジェクトをベースに、 どのような形で緑を取り入れていけるかを検討してみました。 このスタディ自体は、 まとまった一つの案という形ではなく、 選択可能ないくつかの手段の並記という形でまとめています。

 これがどのような形で実際のプロジェクトに生かされるかは別として、 これからの緑としての建築を考えた場合、 基本的にはその建築がどのようなあり方なのかが重要になってくるというのが、 ケーススタディをやり終えての感想です。 緑を取り込みやすい建築の構造にしていくことが、 これからの大きな課題であろうと思います。

 また、 そうした建築の課題以前に、 都市構造の問題として緑の建築をどう都市の中に位置づけていくかも考えざるを得ません。 これも大きな課題になるでしょう。 私個人としては、 今の都市計画にあまり期待を持てないので、 ゲリラ的にと言いましょうか、 このように部分からの都市構造の改変をやっていかねばならない段階に来ていると思っています。

 とは言え、 都市のコンパクト化、 都市の基盤構造をしっかり整備していくこと、 個々のエレメントが都市環境に対する責任を持つという三つの方法はやはり並行して進めていかねばならないと考えています。 そのために、 3番目の個々のエレメントに対し、 我々専門家はどのような答えを用意できるかを今後もさらに考えていかねばならないでしょう。

 アーバネックス中京のケーススタディでいろんな方と議論をしてきて、 一つはっきりと分かったことは、 やりたいことは技術的には可能だということです。 あとは、 本気でやる気があるかどうかです。 建築計画全体の予算配分や緑化を運営していくためのソフトをどう立ち上げるか、 またこういった建物の緑化に対し公的なバックアップはあるのかどうかなど、 緑化を実現させるための手段やそれをやっていく意識の方に、 実は問題が潜んでいるのです。 そんなことが話し合っていくうちに分かってきて、 これからは「モノ」の方ではなく、 「事柄」の方をどうするかを考えていかないと、 具体的な進展は見られないのだというふうに考えています。

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