緑としての建築
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対抗案1

集積することで環境を改善する建築のイメージ

プランタゴ 田瀬理夫

 

「アキ」のあるブロックをつくる

 京都の1ブロックをぐるりと1周しても、 せいぜい500mくらいです。

 犬の散歩でも2〜3周はするでしょう。 バス停へも700〜800mも歩けば行ける。

 (路面電車があれば、 より良いが)タクシーを乗り回しても自家用車の経費と大差はないだろう。

 
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図1 block plan(1階レベルのアキと水路のパターン図、6ユニットも集積したら、これくらいのアキ[光庭]がないと棲めない)
 

水と緑の系をつくる

 SECTION-1、 及び-2の凡例の順に説明します。

 

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図2 section-1
 
 
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図3 section-2
 
 (1)緑の雲: 夏涼しく、 冬暖かい落葉樹主体の多種多様な混植の植栽で、 大阪天王寺の上坂邸やアクロス福岡のように各階の植栽に雨があたる様になっている。 夏の無風時でも夜は地上に冷気がおりてくる。

 (2)Vertical Garden: 垂直でも植栽は可能だが雨や夜露があたれば立体的な庭園はより活性化するする。

 (3)光庭: 文字どおり地上に太陽の光が届く「空き」。

 (4)池(雨水貯留池)及び水路: 駐車場(Car pool)のかわりに雨水貯留する池(pool)を設置。 パーキングタワーのランニングコストよりはるかに安いコストで澄水活性化が可能なプラントを導入し、 澄水を循環させる。 大きな敷地は小さな敷地のお隣さんに分水もできる(西澤文隆による「平安京の街区割と遣水の関係想定図」参照)。

 

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図4 平安京の街区割と遣水の関係想定図(西澤文隆)
 
 (5)小さなツボ(坪)の大きな茂み(2F人工地盤): これも落葉樹。 敷地を越えて枝葉を展開する(東海林さだお アサッテ君参照)。

 

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図5 アサッテ君(東海林さだお、隣家のサクラや鯉のぼりを借景して楽しむ)
 
 (6)コケ庭: 光庭のこもれ陽や建物の反射光でも生育可能なコケは京都建築の常備アイテム
 (7)通り庭: 池・水路とコケ庭を連結させると、 水・コケの通り庭になる。

 (8)BIO-CRUDDING:やむなく出現する垂直壁面は多種多様なつる植物で被覆し、 蓄熱体をラジエーターに変える。

 (9)望楼(BELVEREDE): 「緑の雲」の上の視界は絵巻物の世界に違いない。

 (10)水盤: 中間階にも上階の雨水を溜める池(水ガメ)があると、 「緑としての建築」はより性能アップし、 濃密な都会暮らしが楽しめるようになるだろう。

 

 このプランは、 既存の町家の建替のためではなく、 既存の集合住宅、 オフィスビル等、 京都らしくない建物のやり直しのためのものです。

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