2001年度第7回セミナー・プレセッション緑としての建築 |
■趣旨
2000年8月に行いましたセミナー「UNBIULD UENODESIGN〜ニュータウンを超えて」は、長年ニュータウンのランドスケープデザインに関わってこられた上野泰氏が21世紀の都市環境デザインのイメージを展望する画期的なものでした。
今年は、そこで示された重要なコンセプトである「都市環境の遺伝子治療」を「緑としての建築」という分野で深化させ、ケーススタディするセミナーを行います。
この1年ほどの間で「屋上緑化・壁面緑化」への関心が高まってきています。
しかし、その関心はややもすると機能性、経済性のみに偏り、単に緑化アイテムのレイアウトに終始し、都市環境の質的な転換に結びつかない危惧があります。
都市の再生を考えた場合、50年先100年先を考えた「緑のストック」を造るべきであり、それは緑化基盤のハードデザインであるとともに、緑や様々な生命を受け入れ、育む文化のデザインでもあります。
“緑としての建築”は植物という「生きた」素材を構成要素とした「無機的、機械的な系と有機的、生物的な系の複合体」であり、人と他の生き物が一緒に暮らす建築のイメージであり、都市環境の「遺伝子治療」のための構成要素ともいえるでしょう。
それは環境技術面にとどまらず、文化的、社会学的、生態学的な側面を持ち、都市景観やコミュニティの再生と深く関わります。
そして、今回は京都がケーススタディの舞台となりました。
ご存知のように京都では「町並み景観の再生」「職住共存のまちづくり」が大きな課題となっていますが、伝統的な生活文化を発展させ、住民参加でつくり上げる「緑としての建築」のイメージを提案できるならば、21世紀の都市再生の姿を示す絶好のケーススタディとなるでしょう。
さらに、「伝統」と「近代」の二項対立的な景観問題に対して「緑の街並み」という第三の選択肢を示す可能性も秘めています。
昭和初期に京都帝国大学で住居学を研究した藤井厚ニ教授は、独自の理論に基づいて日本の気候に適した数奇屋風の実験住宅「聴竹居」を建築しました。(1928年に完成し、京都郊外の大山崎に現存する)
70年も前の環境共生型住宅の先駆けですが、私達もこのような実験精神と歴史風土から発想するデザインに学び、“緑としての建築”のイメージを発信したいと考えています。
■プレッセッション
昨年に引き続き本セミナーのプレセッションをWWW上で行います。最初に上野泰氏に問題提起をいただき、有志の投稿を順次掲載してゆきます。皆様のご意見・ご質問をお待ちしております。下記までお送りください。
コーディネータの中村伸之nnnet@mbox.kyoto-inet.or.jpまでお寄せください。
(ご意見はHP上に掲載させていただく場合がございますので、あらかじめご了承ください)
■セミナー予定
日時 9月8日
講師 上野 泰
コメンテーター 田瀬理夫(予定、アクロス福岡等の植栽を手掛ける)
プログラム&申し込み
都市環境デザイン会議関西ブロック