有光:
歩道をテラスにして緩行車線を歩道にするというやり方をしなかったのは何故ですか。
澤木:
パリなどのカフェの形態を見ていると、 私も多分そっちのやり方の方が正しいとは思います。 しかし、 おそらく警察から「歩道は歩道として通せ、 歩道の機能はなくすな」という話があったのではないかと思います。
有光:
工事をするときは、 歩道を止めているのに?。
澤木:
歩行者交通量が多い場所ですので、 警察も柔軟な対応ができなかったと思うのです。
福田:
おそらく歩道に面している店舗が不利益を被らないような配慮をしたということではないでしょうか。 道路工事を行う場合「歩道をふさぐなら、 その間の営業補償をしろ」とよく言われます。 「この工事のせいで逃げたお客は二度と来ない。 もっと補償しろ」という話は最近随分あります。 そういうことも警察は考えたのではないでしょうか。
一度認めると他の同じようなことも認めざると得なくなって、 ここでOKでもよそでトラブルになると困るから許可しなかったと言うことだろうと思います。
澤木:
オープンテラスの実施主体には、 そこに面している大丸も入っていて、 サプライスペースは大丸側の敷地内を利用しました。
有光:
大丸の前以外のスペースもカフェテラス利用したのですか?。
澤木:
いえ、 大丸の前だけです。
有光:
でしょう? でしたら今のご説明は関係ないことになりませんか?。
福田:
いや、 他のところから第2、 第3の似たような申請があったときのことも考えて許可、 不許可を考えたはずです。 行政というのはそういう対応をするものです。
澤木:
オープンテラスという使い方は、 行政にとっては道路工事とは違う扱いなのでしょう。 まだ社会実験的なものなので、 特例的に認めたという感じもありました。 しかし、 このようなオープンカフェは、 東京、 横浜、 広島、 名古屋という大都市で続々と展開され始めていて、 それらが好意的に報道されているという経緯もありますので、 行政もこれからは柔軟な対応になってくるかもしれません。
ただ、 オープンカフェのあり方から見ると、 やはりテラス部分は店側に付いてないと不自然という感じもします。 テラスと店の間に歩道を通した今のやり方では、 テラスが離れ島のようになってしまいますから、 利用者からするとどうも見せ物になっているようであり、 落ち着いてお茶が飲めない気もします。
岸田:
このオープンテラス開催について少しだけ補足説明をさせていただきます。
まず道路の開放についてですが、 交通量的には休日の御堂筋では4車線でもさばけるということであったため、 側道の利用の可能性があるだろうと考えられました。
逆に休日の大丸界隈の歩行者通行量は5.5mの歩道幅では足りないぐらい多いので、 歩道に手をつけるのは難しいと思われました。 また、 車道空間を歩行者に開放することが大きな目的だったという理由もあると思います。
江川:
澤木さんはテラス部分はお店に付いてないと不自然だとおっしゃいましたが、 ラテン系や南欧の国々へ行くとこうした島状の形態はけっこうあります。 むしろ、 歩行者から見られることを楽しんでいる風景があるようです。 日本人にとって「見られる」ことを嫌がる心理や気候の違いから最初はなじみにくいかもしれませんが、 私は「歩道の向こう側にも私の空間がある」と思えばよいと思います。 勝手花壇なんかがそうですよね。 ですからテラスが歩道の向こう側にあることが必ずしも悪いとは思いません。
むしろすぐ隣が車道であることの方が気になります。 もう少し距離があると落ち着くでしょうね。 テラスの位置は場所に応じて設定してもいいように思います。
御堂筋オープンテラスはなぜ緩行車線で実施したか
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