北九州市は工業都市というイメージがあるかと思いますが、 以前はこの紫川も汚く、 氾濫しやすい川だったそうです。 そこで北九州市は水質浄化と治水のために川幅の拡幅と水環境の改善に取り組んでいました。
それに関連して、 井筒屋の前の敷地で建物と護岸が一体となった整備をしようという話になり、 この「紫川リバーサイドプロジェクト」がつくられることになり、 私がこれに関わったわけです。
紫川リバーサイドプロジェクト
河川敷につくられた官民複合施設
私はこのプロジェクトに携わってから初めて北九州市を訪れたのですが、 新幹線小倉駅から市街地を歩いて10分の所に井筒屋百貨店という九州では有名な百貨店があります。 本館と新館があり、 その前を紫川という一級河川が流れています。
|
事業の流れを説明したいと思いますが、 もともとは井筒屋さんの描いた案に北九州市長がこれは良いと言うことで、 ガッチリ手を組まれたのが始まりでした。 ところがその案は法規的にはかなりの問題がありまして、 その後話が進んで担当者レベルになるに従って、 段々と思惑が違ってきてしまいました。 そして私が入った頃には、 市側は「井筒屋さんのために頑張ってる」というし、 かたや井筒屋は「北九州市のため、 しょうがないから力を貸してあげてる」というニュアンスになっていました。 その中で、 北九州市のある局長さんから、 このような状況はよくないということで、 もっと全体的な考え方を提案する機会をいただきました。 私は外部から来ている人間だから言えるのかもしれないのですが、 小倉の街はやはり福岡や門司といった観光地に対して、 これからの発展が危惧される所があると思いましたので、 「小倉の発展」という大きな合意点に向かって皆さんで頑張りませんかという提案をしました。 その提案を、 今となっては恥ずかしいのですが「みなもシアター構想」と名付けました。 「シアター」というのは紫川が舞台で、 その周りにいろいろ整備されたものを客席に見立てるということです。 ですから都市資産が集中し、 マイタウン・マイリバー事業で投資をした所をやはり表舞台にしなくてはいけない、 それこそが小倉の生きる道だと訴えました。 その中でもこのリバーサイドタウンは親水性も高いということで、 特等席になる施設にしたいという提案をしました。
| ||
|
これが私の最初の「想い」である初期全体構想です。 真ん中が舞台となっていて、 他にいろいろ施設を整備しようというイメージです。 どの施設も川の方を向くのだ、 ここではイベントをやっていくんだ、 それに皆が協力していくというような姿を描きました。 こういう見る・見られるということが都市デザインとして必要なのではないかと思ったのです。 反対側から見た井筒屋さんのイメージも描き、 やはり全体として今ある建物に囲まれた中で、 「舞台」とその「背景」という観点からデザインを決めていくべきではないかという提案をしました。 また最初は真剣に噴水を上げようとか、 ポンツーンについてもイベントのときには引っ張り出せるようにしようとかいうような、 かなり絵空事的な大胆な事を描いていましたが、 後々縮小化されていきました。
| ||
|
この案自体は局長に非常に気に入っていただき、 その後、 例えば連絡協議会の場で発表させていただいたりしました。
|