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上野不忍池
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これは東京・上野の不忍池のあたりに超高層マンションを建てるという計画で、 そこのランドスケープデザインを手がけています。 ここはで総合設計制度を用いていますので、 公開空地が設けられており、 公に開かれた場所にすることが必要されます。
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マスタープラン
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公開空地をもつマンション等は、 もちろん他にも山のように事例があります。 しかし、 実際、 公開空地としての本来の意味で成立している空間はそれほど多くないように思います。 もちろんマンションの計画なのですから、 売れるための付加価値としてのデザインをするということが求められます。 最近では、 ランドスケープ・デザインが大きく謳われているプロジェクトも増えてきています。 そこを買う人がいるからこそ建てるわけですから、 そういう要求についてもきっちり答えていく必要があります。 その上で、 地域との「連続性」や公共性に寄与する空間にすることが大切なのです。 しかし、 これはデザインマニュアルを決めて地域の色等を統一するということではないと思います。 それぞれの場所で、 地域の資質を炙り出すことに真摯な態度で関わることによって、 まちの雰囲気が徐々に醸成されていくようなものだと考えています。 現在では、 周囲の環境との差異だけが商品化できる部分であるという認識の方が大半だと思いますが、 将来は、 それに加え、 地域のポテンシャルを活かし、 できた空間がさらに地域のポテンシャルを上げていくような場所が評価されるようになると思います。
今回のプロジェクトでは、 隣接する上野の森と連続するような森の中に建つ超高層を提案しています。 環境の連続性とそこでしか体感できないキャラクターを持つ空間を同時に実現することを目指したのです。
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戸外室のような空間
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デザインとしては建物の周りを森にすることを基本としていますが、 樹木の下では、 超高層の圧迫感がない緑の屋根をもつ戸外の部屋と呼べるような空間とすること目指しました。 また、 ベンチを多く配しているのですが、 緑のマウンド等で少し立ち上がりを持たせることによって、 立って歩いている時の見通しの良さと、 座ったときの囲われ感を得られる工夫もしています。
余談ですが、 私は、 自分の居場所と思えるところ、 私はここが好きだという場所があって、 そこに人が座っていると「あ、 この人もこの場所が好きなのかもしれない。 」と思えるときに何か楽しくなる気がして、 さらに、 そこが好きになることがあります。 場所によっては自分だけが知っていると思っているところを見つけられて、 少し悔しい思いをするときもありますが。
そういう自分の好きだと思えて座りたくなるような場所がいくつも点在していて、 全体としては緑で囲まれている空間を作りたいと思っています。
また、 共用スペースである建築内部のロビー空間とランドスケープによってできる戸外室空間とを一体化させて、 それらが共同して相互補完的に成立することを目指しています。 連続性を高めた一つの空間と言えるものにしたいと思っているのです。
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ダン・カイリー設計の公園
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これはダン・カイリーという尊敬しているランドスケープ・デザイナーの設計した公園ですが、 緑の屋根の下に強いフラットな芝生の空間をデザインしています。
このように、 人が入って初めて美しく思えるような空間づくりをしたいと日頃から考えています。
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水のメインエントランス
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これはエントランスです。 やはり木の下のところにグラスの空間をつくり、 緑の屋根の空間の下で、 外でも中でもないというような庭にしたいと考えました。
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緑が空間の骨格となる
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ここがサブエントランスです。 たいていの計画では、 車で帰ってきていつもメインエントランスを通らずに帰るという人もいるのに、 駐車場から帰ってくる道が寂しいことが多いと思います。 しかし、 ここでは、 サブエントランスを豪華にするというよりも、 ランドスケープと一体となったロビー空間が、 どちらから来ても全体として大きなエントランス空間と感じられるような空間づくりをしたいと考えています。
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建築を包む森
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建築の大きさからすれば、 ランドスケープ・デザイナーとしては、 倍ぐらい面積が欲しいと思う気持ちもありますが、 ここが、 多くの人が好きな場所のひとつと感じて座りたくなるようなところにしたいと思います。
最後に、 最近、 他のマンション計画を見るとクローズドコミュニティー、 すなわち、 敷地全体を壁等で囲ってしまい、 そこでセキュリティをとって中にプライベートガーデンを取るような構成が増えてきています。 所有の概念や安全性の問題もあって、 求める声がかなり多くなっているようです。
社会環境的に不安だとか、 子供達が安心して遊べる場所をつくりたいという気持ちなどからそういう形が求められるわけです。 そういう方向に社会が流れていくのは仕方がない部分もあるのですが、 ランドスケープデザイナーとして、 また都市環境の一部に関わる者としては、 それでも、 「連続性」を担保するにはどのような方法があるのか、 また、 やはりオープンで自分たちのコミュニティに確信を持って住むことができるような空間、 またコミュニティと次のコミュニティが繋がっていくような連続性をもつ都市環境の可能性を模索していきたいと考えています。
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