京都は再生するか〜百年後の水と緑をデザインする
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シナリオ2 おじさんの物語「おばんざい」

 

 

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農のある生活

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朝、 屋上で畑いじり(作画:久光 敢)
 次の物語では、 年輩の男性を想定しました。

 このおじいさんはリタイアしているかしていないかくらいの年齢で、 生活に若干時間に余裕がある方です。

 今日は地蔵盆なので、 お仕事はお休みです。 朝、 屋上に上がっていきます。 屋上には大きな菜園が設けてあって、 屋上で土いじりをします。 屋上に菜園があることで、 毎日極めて新鮮な野菜を得ることができます。


風情のある生活

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料理教室でおばんざいづくり(作画:久光 敢)
 自分の畑でとった野菜を、 料理教室に持ち込んで、 おばんざいをつくります。

 京都には伝統的な保存すべき建物がたくさんあるわけですが、 この場所は、 そういう建物を移築するなりして、 建物群として保存される地域に想定しています。 こうすることによって、 百年後でも通用する伝統的な雰囲気を守っていこうという考えです。 ここは、 京都の文化に親しむ機会のそれほどない人々にそういった機会を提供する、 カルチャーセンターのような場として考えました。

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茶室でブランチ(作画:久光 敢)
 ここは建物の屋上です。 保存するべき建物などをマンションの屋上に移築して、 日本庭園などをつくって、 保存していくということも考えました。 例えばこういう所に、 先ほどの料理教室で作ったおばんざいを持ってきて、 茶室でのんびりとごはんを食べるのもいいかな、 という感じです。

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路地を抜けて散歩(作画:久光 敢)
 先ほどのような形で、 伝統的な建物を一ヶ所に集めると、 こういう風景が百年後も残ります。 こういうところを散歩するのも情緒があって良いと思います。

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日陰で読書(作画:久光 敢)
 これも屋上の絵です。 上に見えるのはパーゴラで、 植物の蔦がからまって日陰をつくっています。 ちょっとした屋上のスペースは、 歩けるようになっていて、 読書をしたり散歩をしたりできる空間があると良いという思いでつくりました。


人と交わうコモンスペース

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オモテ通ではお祭り(作画:中村伸之)
 地蔵盆のお祭りの日ですから、 オモテの普段、 車が通るような場所でも、 ちょっとした出店のようなものが出て、 お祭りをしているという風景です。 このように道具を使って、 そういうお祭りの雰囲気を出すということは、 たぶん百年後も受け継がれていることだろうと思います。 まち全体としてお祭りの雰囲気をつくっていくことは、 百年後でも残していきたいと思いました。

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地蔵盆(作画:石田知紀)
 おじさんも地蔵盆に遊びにきました。

 手前は集会所になっていて、 土間があります。 先ほどの少女の時に出た空間とほぼ同じなんですが、 土間と奥の空間がつながっていて、 ドアを開け放っています。 室内と室外が一体となったような空間が広がっています。 このなかで、 室内にいながら外のお祭りの空気を感じれるわけです。

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堀川で一杯(作画:久光 敢)
 地蔵盆が終わって、 どこか涼みに行こうかとなった時、 やはり堀川が一番涼しい空間です。 水が流れていて、 木がたくさんあるところですから、 都市の中では一番のクールスポットとなっています。 暖かい時季にはその場所に仮設的に床を設けて、 ぼんぼりなどを出して、 二条城をバックした趣きのある場所でお酒を飲みながら、 まったりとした時間を過ごすということを考えました。


屋上の露天風呂

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露天風呂から見る京都の夜景(作画:久光 敢)
 これも屋上を利用しています。 集合住宅などの屋上に露天風呂をつくって、 そこでゆっくりと今日のことを振り返る場所です。

 京都は都市であり、 多くの生活やライフスタイルがあるなかで、 意見を一致させるのはなかなか難しいものです。 しかし、 見ていただいた画像のように、 感覚的なものはお互いに共有できるのではないのでしょうか。 そういう共有できる部分を積み重ねていけば、 百年後には都市の形が実際に大きく変わっていくのではないかと思って、 このような絵をご覧いただきました。

     
     シナリオ・イメージ作成
      石田知紀、 中村伸之、 久光敢
     シナリオ協力
      池田倫子、 鳥賀陽百合、 前原修二、 三宅誠、 若林孝行
     城巽学区の皆さんとのワークショップから様々なインスピレーションをいただきました。
 
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