パート2では、 これからの京都の都市環境を考えていくときに、 どういう街区のあり方が良いかを中心に、 一つの問題提起としてお話しをしたいと思います。 「緑としての建築」以後
さまざまな意見を受けて
上野:
オモテの積極的緑化からオモテの歴史的文脈の重視とウラの積極的緑化へ |
そこで今年、 街区レベルでこの問題を取り上げるのに先立ち、 右側の図のように考えました。 背割りのほうに積極的に緑が出てきて、 オモテには局部的に出てくるといった緑の構造に転換して考えたわけです。
昨年のセミナーの後で、 都市環境デザイン会議会員へのアンケートを、 清水さんのほうでまとめていただいたのですが、 その時にも、 オモテとウラの構造の中で緑を考えていくのがいいんじゃないかという意見がありました。 そこで今年は建物全体が緑で覆われていくというものから、 京都の文脈を重視してオモテとウラのあり方を意識的に変えていこうという試みをしてみました。
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これは西新井という、 足立区の工場跡地の再開発プロジェクトです。 プロジェクトに先だって、 どういうコンセプトで考えるのかという段階で、 私が提案してきた「緑としての建築」の面的な展開として提案した絵です。 低層の建物と高層の建物の組み合わせで、 低層の部分を積極的に緑化していきながら、 まち全体としての環境をつくっていこうという考え方です。 これは初期の検討なので、 これから色々形は変わってきています。
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これは同じプロジェクトの、 委員会としての最終のアウトプットです。 このプロジェクトでは委員会の座長を法政大学の陣内秀信先生にやっていただき、 建物はシーラカンスアソシーエイツの小島一浩さんが担当しました。 小島さんの提案は、 全体として穴あきチーズのような多孔質の低層と高を組み合わせた建物で、 それと緑を組み合わせたシステムを考えました。
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多孔質というのは、 ちょっとわかりにくいのですが、 光庭のようなものがあったり中庭があったり、 通り庭のようなものがあったりして、 大小さまざまの穴のあいた低層の建物で、 縦横に光や風が抜けていくような建築となるといったイメージです。 その多孔質の建築と緑を組み合わせていくことで、 まちをつくっていけないかということを考えているのです。
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