JUDI semina 2002/9
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第1回ワークショップ報告
「まちへの眼差し、 まちへの夢」

2002/4/14(日)14:00―16:00

場 所:ランドデザイン

参加者:→参加者全員リスト

 
画像ichi
城巽学区の位置
 


●ワークショップの目的

中村

 今のまちをどうしたら良いかのということは、 実は専門家の間でもよく分っていません。

 ああしたらいい、 こうしたらいい、 とは言えるが、 何ができるか、 誰がやる気になるのか、 実際お住まいの方がどういったまちを目指しているのか、 といったことはまだよく分かりません。

 今日、 住民一人一人が出来る範囲で、 自分たちの場所を良くすることが求められる時代になってきましたが、 その時に何を目指すかという共通のイメージをもっていないのです。

 そこで私たちは、 具体的な場所をモデルにして、 身近なところからまちを考えて、 部分部分からまちを変えてゆこうという提案をしています。 今年で三年目に入ります。

 今年は、 京都の都心部を対象として、 そこにお住まいの皆さんの声を聞いて、 それをもとに環境デザインのプロ、 学生も参加して、 まちの将来像を描いてゆくという試みをしたいと思います。

 9月にセミナーで発表することを1つの目標にして、 4、 5、 7月とワークショップを3回やってみたいと思っています。

 ワークショップの中心的な役割をしていただくのが上野さんです。

 上野さんは東京にお住まいで、 これまで大規模なニュータウンの計画、 デザインのお仕事を中心にされてきました。



●どのようなまちを目指すのか

上野

 私はこれまで都市計画についての仕事をしてきました。 その経験からこれからのまちをどうやってつくっていくのが一番いいのかを、 もう一回考え直す時期にきていると思います。

 今日本は、 政治にしろ経済にしろ大きな転換期にあって、 これから私たちは何を目標としていくのかということを一人一人が考えていかなければならない時代にきていると思います。

 この問題は、 今まちを支えている現役の方だけでなく、 次の世代を担う方にも一緒に考えてもらって、 その人たちがまた次の世代の人にそういうことを考えてください、 と伝えてゆかないと続きません。

 まちがある限り、 人の生活というものはあるわけなので、 今ここで何かを解決したとしても、 10年先50年先100年先の課題というものは必ずあるはずです。 したがって常に考え続けてゆくことが必要になってきます。

 どうすれば考えつづけてゆけるのか。 例えば道路拡張やマンションが起きると、 地元の方がそれに対して意見をいう機会はあるが、 それが終わればたいていはそれきりで終わってしまう。 けれどもそのベースになるもの、 なぜ私たちはこう考えるのかという基にあたる、 私たちはこういうまちにしたいとか、 こういう暮しがしたい、 だから例えば道路についてはこういう意見を持っています、 ということを日頃から考えていれば、 例えば行政に対して自分たちの意見を述べたり、 あるいはマンション業者が入ってくれば、 私たちはこういう事を考えているから協力して下さいと言えるようになってくるでしょう。

 個々の問題が出てきたときに考えるのも大切だが、 そのベースとして、 日頃私たちは今住んでいるまちに対して、 どういうふうに考えているのか、 どういうふうにもってゆきたいのか、 どういう問題があると考えているのかを、 皆さんで話し合ってゆくことが大事です。

 それは歯磨きと同じだと思います。 毎日歯は磨かないと丈夫にならない。 虫歯になっても医者に行けばいい、 あるいは全部だめになっても入れ歯にすればいいと言ったってそれは自分の歯ではありません。 自分の歯のようにおいしく食べられません。

 まちも日頃まちのあり方に関心を持って、 自分たちがやるべきことをやっていって、 初めて、 自分たちが出来ないところは役所に頼みましょうとか、 色々な人に協力を仰ぎましょうということになってゆくはずです。

 日常まちをどうするかをそれぞれ考えて、 日々目に入るものに関心を持って、 これはいいとか困るといったことを、 お互いに話し合っていけるような仕組みをつくってゆかないと、 やはり個々の具体的な問題になったとき、 当然利害が違ってくるわけで、 そこで立場の違いからまちが荒れてしまうといったことがでてきてしまうことがあります。

 その前に皆が日頃からこのまちについて、 私たちはこう考えているんですよ、 といったことを積み重ねてゆくことによって具体的な問題が出てきたときに、 より良く対処できるのではないかと思います。 こういったことは(古い建物の)改築、 建替えをどうするかを考えるときにも手掛かりになるはずです。



●世代を超えて伝える

 もう1つ大事なのは、 これは長い時間に関係する問題なので、 親はまちについてどう考えているのかを子供に伝える必要があり、 若い人たちは今の大人が何を考えているかを理解しておくことが必要です。 また大人は、 次世代を担う若い人たちの意見を知っておく必要があります。 まちづくりは世代を超えた共同作業です。

 (世代を超えた)対話がないと長い時間の問題は解決しない。 そこで今回の試みはあえて非常に幅広い年齢層で話し合う場を持とう、 ということにしました。 これは実験ですから答えを出すのが目的ではありません。 世代を超えて1つのまちの在り方について語り合う機会を持ってみよう。 それができるのか、 果たして話し合いができるものかどうかは、 やってみなくては分からないということです。

 今日皆さんにお集まり頂いて、 やってみて、 それがうまく動いていけば9月のゼミナールで城巽の方々に「私たちはこう考えました。 皆さんの意見を聴かせて下さい」という形で情報発信をしてゆこうと考えています。

 それに対してそんなのやっても無駄、 続けていこう、 あるいは違うかたちの方がいいなど色々な意見があると思います。

 それは次のステップで考えればいい。 今回はとにかくそういう実験をやってみませんか、 という呼びかけをして皆さんにお集まり頂きました。



●ワークショップの進め方

 今日する事と進め方をお話します。 今日は皆さんの声をお聞きすることが目的です。 まずお尋ねすることは、 「住んでいるまちの好きなところはどこですか」、 「あるいは嫌いなところはどこですか」です。

 生活する中でまちに対してどういう感想を持っているかということを、 話のきっかけとして話して下さい。

 それをもとにしてどうすれば良くなっていくかということについて一緒に議論していきたいと思います。 その議論の過程で、 今日集まって頂いたメンバーがどういうことに関心を持っているかを絞り込んでいって、 次の集まりまでに何かの形でまとめて下さいという「宿題」を皆さんにお願いする予定です。

 会を進めていく前に、 基本的なルールを説明しておきたいと思います。 今回のテーマは「100年後のこのまちに対してどんな夢をもっているか」で、 これをみんなで議論したいというのが集まりの目的です。 正しい答え、 間違った答えはありません。 一人一人考え方も経験も違います。 一人一人の夢に優劣はありません。

 こういったら間違いではないかということは考えないで、 意見を出すときに遠慮は絶対にしないでいただきたいと思います。 それからここには幅広い年齢層が集まっていますけども皆さんは平等で、 対等な話し合いです。 ですから気楽に発言して下さい。

 まちに暮らしている人の価値観は千差万別です。 例えば一つの家族の中でも一人一人の価値観は違います。 しかし一つのまちという場所で暮らすために一人では暮らせない。 違う考え方を持った人が一つの場所の中で協力して暮らしていく、 ということが今日扱う問題のもっとも基本的なことであり一番大事ことだということを頭に入れておいてもらいたいと思います。

 正解はありません。 一人一人考え方は違います。 だけどまちは一人ではできない。 まちの中での暮しは一人ではできない、 ということです。

 違った価値観を持った、 色々な意見を持った人が集まって初めてまちに暮らすことができます。 そのためにはお互いの違う意見を知って尊重することも必要です。 それを超えて協力することも必要です。 そういうことがまちをつくっていく為の基本的なルールです。

 ですから今日皆さんで議論してゆくテーマは基本的にはそういう問題を扱っていることを理解していただきたいと思います。 そういうことを理解した上で話をすすめていきたいと思います。



●このまちの「好きなところ」「嫌いなところ」

(1)このまちの「好きなところ」

(2)このまちの「嫌いなところ」



●どうすればまちは良くなるか

(視点1)遊び場が少ない(主に中学生の意見)

(視点2)二条城の存在

(視点3)マンション・町並みはどうあれば理想的か(主に大人の意見)

以上

 当日出された意見は、 「水や緑の自然環境」、 「遊び場やオープンスペース、 道」、 「マンション問題、 町並み、 景観」という3つのテーマに括ることができた。

 これらのテーマについて、 若い世代には「100年後の城巽への夢」、 大人には「100年後の城巽に残したいもの」をそれぞれまとめておくという「宿題」を出した。 「宿題」は文でも絵でも口頭でも良く、 それぞれの参加者の「夢」を語ってもらうことを目的としている。 「宿題」は個人でも家族や友人でチームを作っても良いこととした。

 5月26日の第2回ワークショップでそれらを発表しあい、 議論をする予定である。

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