JUDI semina 2002/9「京都は再生するか 〜百年後の水と緑をデザインする」
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したがって、 本年取り上げる問題は技術的な問題というよりは、 このような条件を如何にしたら生み出せるのか、 地域として、 プロとしてこの問題にどのように関わってゆくべき なのかを実践的に考えるものとなるはずである。
これまで、 地域の特定の環境問題について、 地域の人々が話し合ったということはあ っても、 "平素"地域のあり方、 目標像についての"世代を超えた"議論というのは、 まず無かったといって良いだろう。 いうまでもなく、 都市環境というものは一代限りのものではなく、 世代を超えて受け継がれてゆくものであり、 それゆえに世代を超えた「目標の共 有」ということが重要なのである。 とはいえ、 地域の「総意」というものが果たしてあり得るのかということ自体問題である。 今回は恣意的に選ばれた特定少数のある時点における意見であるが、 それはそれでよいと考えている。 このような試みを繰り返し、 より範囲を広げ、 持続させることの方が、 意見の内容よりも意味があると考えるからである。
今回のセミナーは、 昨年に引き続き京都を取り上げ、 中京区の城巽学区を中心とした地域の方々に参加を呼びかけ、 ワークショップを通じてこの問題を考えてゆくこととした。 このワークショップには小学生から高校生、 大学生、 若手プロが参加しており、 活発な議論がもたれることを期待している。 また100年後という条件設定は、 二つの意味を持っている。 一つは目先の利害を離れて考えてみるということ、 二つ目はこれを機会に100年後に向けて具体的アクションを考えても良いのではないか、 ということである。
すでに述べたとおり、 本年のセミナーのねらいは、 「ハードウエア―」の提案ということよりも、 「都市環境の部分からの改変」のための仕組みについての、 実践的思考実験というところにあり、 したがって最終的にハードな提案という形につながるか否かは今のところまだ不明である。
もはや過去の栄光にすがりつくだけでは、 新しい創造はありえないことは誰の目にも明らかです。
京都がふたたび「文化的リーダー」となるためには、 そこに住む人々にとって心地よ い、 誇りの持てるまちへと生まれ変わらなくてはならないでしょう。
そのためには、 地域の人々がこれからのまちのあり方について、 目標を共有することが不可欠なのです。
さて、 私たちが住む城巽(じょうそん)学区では、 2003年に世界遺産・二条城の築城400年を迎えますが、 その周辺の環境は、 近年、 大きく変わり、 新しいまちづくりの機運も生まれつつあります。
この機会に、 過去の偉大な遺産にふさわしい、 地域の環境や生活のあり様を「未来への展望」として語ることは、 大変意義のあることと思われます。
そのために、 若い世代を中心とする地域の人々に城巽学区を対象に、 水と緑を中心として「100年後のまちに何を期待するか」「100年後のまちに何を残したいか」につい て、 夢を語っていただきたいと思います。
その「夢」を基に、 専門教育を受けている大学生や都市環境デザイナーも参加して、 より具体的なイメージを描いて、 地域の方々を交えた、 「都市環境の部分からに改変」の 議論の素材にしたいと考えております。
今年の2月には、 堀川再生をきっかけとした環境デザイン展「明日 の堀川を考える」がおこなわれ、 環境デザインを学ぶ学生の提案を地域の方々に評価していただきました。
今回は、 さらに地域に密着しグレードアップした提案をしたいと思います。
■連絡先 ランドデザイン(中村)
セミナーへ向けて
●はじめに
洛中洛外絵図―二条城付近
2002年9月のJUDI関西セミナーでは、 2000年の「都市環境の遺伝子治療」、 2001年の「緑としての建築」にひき続き、 「都市環境の部分からの改変」というテーマをとりあげることとした。 本年は昨年の建築単体の問題から範囲を拡大し、 面的なスケールでの問題の掘り下げを目指している。 昨年のセミナーにおいて、 技術的な問題もさることながら、 町並みや景観、 人々の意識といったより広範な問題が、 「部分からの改変」という問題に深くかかわってくるということが鮮明となった。 面的な広がりをもつゾーンを対象とした「都市環境の部分からの改変」という取り組みには、 建築単体以上に地域居住者の力が大きく関わってくるものと思われる。 当然のことながら、 面的な広がりをもつゾーンの改変のためには、 地域居住者の理解と協力、 あるいは主体的行動無くしては実現しないことは改めていうまでもない。 そのためには、 地域の人々が身の回りの環境の問題を話し合い、 「共通の目標」を持てるということが不可欠である。
●ワークショップについて
千年以上もの長い間、 京都は「みやこ」すなわち「特別なまち」であり、 わが国の文化的なりーダーであり続けました。 けれども、 20世紀後半の、 社会の変動の中で、 町並みは大きく変わり、 伝統的な文化やコミュニティーは衰退し、 「普通のまち」になってしまったように思われます。
■主催 都市環境デザイン会議関西ブロック
■参加予定者 城巽学区およびその周辺居住の人々(小学生〜保護者、 地域の女性層)
学 生 池田倫子(立命館大学)
久光 敢(立命館大学)
専門家 上野 泰(ウエノデザイン)
清水泰博(東京藝術大学)
若林孝行(風土計画社)
コーディネーター 中村伸之(ランドデザイン)
■場所 城巽学区内またはその周辺
■スケジュール
4月14日(日)
「まちへの眼差し」、 「まちへの夢」 (2時間程度)
フリーディスカッション
5月26日(日)
「100年の夢をふくらませる」(2時間程度)
4月14日の"宿題"の報告
7月
「100年の夢を形にする」(2時間程度)
9月14日
「発表―JUDIセミナー」(3時間程度)
地域の方々やJUDI会員、 学生、 研究者などに広く参加を
呼びかけて、 ワークショップの成果を発表し、 話し合う。
Tel 075-256-5055 Fax 075-255-5025
Email nnnet@mbox.kyoto-inet.or.jp
第1回ワークショップ報告「まちへの眼差し、まちへの夢」
第2回ワークショップ報告「100年の夢をふくらませる」
第3回ワークショップ報告「百年の夢を形にする」
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