淡路景観園芸学校の現在と未来
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学校の特徴

 

 この学校の設置計画を申しますと、 1)学校教育法の適用を受けない学校であるということ、 2)県立の組織、 これは第3セクターなどではなく、 あくまで県の組織として(正確には県土整備部の地方機関)あるということです。 そして、 3)教員は大学教員であること、 というものでした。

 この教員の身分については冒頭にも複雑だと申しましたように、 兵庫県立姫路工業大学自然環境科学研究所の大学教員があたるという形をとっています。

 このような考えのもと、 新しい発想で育てる機関としての大枠が設定されていったわけです。


専門課程の教育内容

 専門課程の教育が具体的にどのように行われているかと言いますと、 実践的な専門教育ということで演習と講義が7:3の比率になっています。 また少数教育を実践しています。

 実践的教育というのは、 具体的には「社会との結びつきを重視している」ということであって、 現場技能の専門職の養成ではないと私達は理解しています。

 具体的に講義の中身をご紹介しますと、 まず「専門講義」があり、 あとは「園芸・植物関連の演習」「計画・デザイン関連の演習」という2本柱があり、 最後に「卒業演習」では社会との結びつきを強くした内容を目指しています。


景観園芸とは

 我々教員もこの4年間ずっとこの「景観園芸」という言葉について考え続けてきました。 なかなか答えは出ませんが、 葛藤も含めてお話しようと思います。

 当初は「景観=デザイン+園芸=植物」ということで、 デザインの技術に植物の知識・技術を融合した専門家を育てようという考え方をしていました。 これ自体は間違いではないと思うのですが、 ただし何のためのデザインか、 必要な植物知識技術の中身は何かが問題になってくると思うのです。

 身近な範囲では、 例えばエクステリアとかガーデニングといった範囲では十分対応できると思います。 しかし一旦「地域」に目を向けた場合、 果たしてこれだけの能力で良いのかというと疑問が残ります。

 当初のコンセプトから考えても、 私達は「身近な景観園芸」から進んで「地域の景観園芸」を目指すべきではないかというのが、 今考えている一つの結論です。

 実は、 この言葉は鳴海先生から提示して頂いたもので、 私は本当にその通りだと思っていつも使わせて頂いています。

 そこで、 地域の景観園芸にシフトしていく方法を考えていく必要があります。


自然にこだわり、 地域にこだわる

 それはなぜかというと、 本学校が兵庫県立だからなのです。 これから21世紀が地方分権社会になっていくであろう中で、 もっと地域にこだわって良いのではないか、 そうすると兵庫県という一つの地域から発信する事には何らかの大きな意味があるのではないかと思うのです。

 ですから本学校はその教育の中身も、 ここで学ぶ学生にも、 地域というものをもっと大事にした、 地域からの発想、 地域をイメージ出来る力、 地域をやさしく見つめる視点というものを持って欲しいと考えています。

 ただし、 あくまでもそのベースは「花と緑」ですから、 植物(自然)にこだわり、 地域にこだわるという形になるでしょう。


景観園芸に必要な資質

 
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景観園芸に必要な資質
 
 それを実現するために必要な景観園芸の資質として、 次の5点があげられます。

 まずは「植物」と「デザイン(景観)」の技術、 そして今後重要になってくる「市民感覚」や「社会感覚」、 さらに地域にこだわると、 実際にそれを実現していく能力「経営力・企画力」がどうしてもなくてはならないという事がわかってきました。

 こういった要素を付加した形での教育を身につけて欲しいと思っています。 そしてこれらを体得していけば景観園芸の専門家になれるのではないかと考えています。

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