淡路景観園芸学校の現在と未来
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淡路景観園芸学校への期待

 

 それでは次に淡路景観園芸学校について、 先ほどの斉藤さんよりもっと大枠の話と、 期待している点についてお話ししたいと思います。


教員の身分について

 実は平成11年開校の「淡路景観園芸学校」は兵庫県土整備部に属し、 三田市にある「人と自然の博物館」は教育委員会に属しています。 また豊岡市には平成12年に「コウノトリの郷公園」というのが出来ました。 これらは県立の3研究所ですが各々独自の体系を持ち、 各々の設置者から予算を頂きながら、 いわゆる大学の研究所として各々のミッションを遂行しています。

 ところで平成4年に人と自然の博物館が出来るときに、 我々は当時の設置者に色々な要望を出しました。

 普通このような所で働いている人は学芸員と呼ばれます。 学芸員というのは英語で言えばキューレーターになり、 イギリスなどではプロフェッサー以上の権威があります。 しかし日本語で学芸員というと、 なんだかネズミ色の服を着て走り回っているようなイメージがあります。

 そこで我々が何を考えたかと言うと、 この博物館を大学にしていただきたいとお願いしたわけです。 ちょうど国立民俗学博物館などでは、 大学教授が学芸員として働いていらっしゃいます。

 そこで文部省にお願いにいったところ、 文部省の人達は「地方の事は地方で考えなさい」と言われました。 民博の場合は国立大学設置法を改正してやっています。 そういった結果を報告しますと、 では県条例のもとで考えなさいということで博物館設置条例と県立大学の条例を変えて頂くことができ、 それによって博物館の職員は大学の教員として採用され、 その人間が博物館を兼務する形になりました。

 そのような前例があって、 景観園芸学校の場合も三田方式でやりなさいということで、 先生方は姫路工業大学自然環境科学研究所の教員として採用されているわけなのです。 さらにコウノトリの郷の場合もその方法で行くことになりました。

 こられの三つの組織は、 位置もバラバラですが、 今の情報化社会の世の中に最適な研究所構成だと思います。

 なぜこのような形態をとったかといいますと、 教育公務員特例法を教員や研究員の皆さんに適応させるためなのです。 教特法では研究の自由、 活動の自由、 全ての自由が保証されます。 そこでこれらの研究機関では、 各々別の管轄下にありながら、 いずれもこの法律の適用を受けられるような二重構造の組織になっているわけです。


景観園芸と地域づくり

 景観園芸学校は震災後の重点プロジェクトですが、 なぜあの場所につくられたかというと、 あの辺りは国営パイロットファームが作られた場所で、 ほとんどうまくいっていませんでした。

 私達はあの環境的に一番劣悪な地域に入ることによって、 ここで出来るなら兵庫県内のどこでも成功するだろうということで、 ああいう場所を選んだのです。

 ちょうど景観園芸学校がオープンした年に日本造園学会が淡路島でシンポジウムをしました。 そのとき学術会議シンポジウム「緑の創造と新しい地域づくり」の中で「景観園芸と地域づくり」というテーマで話をさせてもらいました。

 その中で、 景観園芸学校への期待という事で、 このような住民参加・住民主体型の新しい地域づくり・まちづくりはもうずっと前から動いていて、 その動きは淡路景観園芸学校周辺の住民の間に確実に広がりつつあること、 また卒業生がコーディネーターとして花と緑の地域づくりなどで活躍する事を期待するといった話をしました。

 私は21世紀型の草の根ランドスケープの新しい展開がここから始まっていくと考えています。

 20世紀中盤から後半にかけて、 ガレット・エクボなどを中心に草の根ランドスケープという話がかなり出て来ました。 私は21世紀にはそこからさらに新たな形での住民参加型・協働型の草の根ランドスケープ、 景観園芸といったものが再度広がるのではないかという期待をしています。

 実際にも大都市地域では阪神グリーンネットやグリーンマントの会などに代表される地域づくり団体が出てきていますし、 これには景観園芸学校の学生さん達も卒業生達も沢山加わって頂いています。 また中山間地区では丹波の森づくり、 宍粟森林王国、 北播磨田園空間といった地域づくりが始まっています。

 ちなみに今年の卒業生で丹波新聞に就職し、 私は丹波に身を埋めるといって丹波新聞以外どこも試験を受けなかったという変わった人がいました。 多分こうした動きがもっともっと広がって、 その中で景観園芸学校の卒業生が活躍してくれるのではないかと期待しています。


グリーンクラスターの育成・連携

 
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グリーンクラスターの育成・連携
 
 これはどこでも使っている絵なのですが、 実は震災前までは自治会・婦人会・老人会などに代表される自治会的な組織と、 趣味の会といった、 いわゆる地域型市民活動といわれるものが中心でした。

 ところが震災後になると、 狭義のボランティア的なものからコミュニティビジネスまで、 様々な新しい団体が出てきました。

 そうするとこれからのまちづくりを考えていくときに、 この地域型の人々とテーマ型の人々がいかにうまくリ・ネットワーク(再統合)するかが重要になってきます。 そういった部分を景観園芸学校の卒業生に担って頂きたいのです。

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