淡路景観園芸学校の現在と未来
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(3)授業外での私たちの活動

専門課程4期生 烏賀陽百合

 

入学のきっかけ

 私は京都出身で、 入学前は今ノーベル賞受賞で話題の島津製作所の隣の堀場製作所に勤めていました。 ずっと取扱説明書をつくったり、 その翻訳をしたりという仕事をしていました。 ですから園芸とは全く無縁の世界でした。 大学も歴史や民俗を専攻していて、 世界のお祭りなんかを調べる毎日で、 本当に畑違いだったんです。

 それがなぜこの世界に来ることになったかというと、 一時期イギリスに留学していた時にガーデニングに興味を持ったことがきっかけと言えるでしょうか。 この学校が出来ることになって、 何や面白そうやなと軽い気持ちで入学いたしました。

 今、 大木さんから主に授業内容について説明がありましたが、 私はこれから授業外での活動についてお話しします。 私たちの学校は実は事業外で学ぶことが大きいのが特徴なんです。 学校側から与えられたプログラムだけでなく、 生徒側が自主的に発案したことを中心にお話ししていきます。


修学院離宮での剪定ご奉仕

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修学院離宮での剪定ご奉仕
 修学院離宮での剪定は2年生の授業で日本庭園を担当していただいている植芳造園の井上先生から「ちょっと離宮の草でもむしってみいひんか」と言われたのがきっかけで、 生徒達が離宮の剪定ツアーを企画し、 バスもチャーターして駆けつけました。

 剪定ツアーとは言え、 離宮の中の木を素人である私たちが切ることは許されなかったので、 回りの木を切らせてもらい、 辺りの清掃をいたしました。

 剪定・清掃は午前中に終わり、 午後からは離宮で植木職人をしておられる方のご案内で離宮を見学させてもらいました。 この時は、 普段は入れない所も特別に見せていただいて、 日本庭園の美しさについて井上先生から臨時講義があり、 「ここの景色はこう見るのがいい」「ここはこんな技法が使われている」というお話を聞かせていただきました。 後になって考えても、 これは企画して良かったと思える体験でした。


アルファ祭

 私たちの学校では1年に1回、 学園祭が行われます。 アルファ祭と呼ばれていて、 今年のテーマは「植物宴」、 植物で歌って踊ろうということになりました。 今年(2002年)で4回目となり、 11月2日、 3日の土日にかけて行われました。 この企画、 運営も生徒の手で行い、 学校側はお金を援助してくれるというものです。

 今年は私が実行委員長をやらさせていただきました。 今年は淡路島だけでなくて外からもいっぱい来ていただき、 全部で700名が駆けつけて大盛況となしました。

 やるからには景観園芸学校ならではの植物に関連した展示やイベントをしたいと思いましたし、 もうひとつ地元の方に貢献できることというのが学校の方針でもありますから、 それも意識して企画いたしました。 また、 来ていただいた方とのコミュニケーションを通じて、 普段は得られないものを得ようじゃないかということも考えました。

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ボタニテーリング
 これは園芸倶楽部が考えた「ボタニテーリング」というイベントです。 学校内の植物に関するクイズを答えてもらう形式で、 植物に関する知識も覚えるしキャンパスのことも分かって貰える一石二鳥のイベントです。 ボタニカルとオリエンテーリングをかけたネーミングで、 ボタニテーリングにしています。 クイズにたくさん答えられた人には、 手作りの押し花のしおりやネックレスを差し上げました。

 本部では暖かいハーブティーを来客の皆さんに振る舞いました。 学校の回りにはハーブがうなるほど生えていますし、 採ってもただなことからたくさんハーブティーをつくって無料で配りました。 淡路島の11月はけっこう寒いので、 暖かいお茶で暖まってもらおうと考えた企画ですが、 「そこら辺に生えている草がこうして飲めるんやね」とおばあちゃん達にはとても好評でした。 ミントやバジルで作ったお茶がおいしいと言って貰えました。

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イノシシのオブジェ
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苔玉
 これは、 淡路島の海岸で拾った流木を使ったイノシシのオブジェです。 シシラッテちゃんという名前です。 これも拾うところから組み立てるところまで全て自分たちでやりました。 こんな風に、 なかなかセンスのいい子もいます。

 また、 今ちまたで流行の「苔玉」を生徒が製作・販売するコーナーもつくりました。 自分たちで土を掘って苔も採ってきて、 上に植える植物も採ってきました。 百個以上は作ったと思いますが、 2日間で飛ぶように売れました。 外では苔玉は1000円〜3000円ぐらいで売っているものなんですが、 500円くらいで売ったものですから、 おばさん達の競争であっという間に売り切れました。 こういうことをやったおかげで、 何が世の中に受けるのかが分かったような気がします。 外の人を巻き込んでいくときに、 関心のある分野を打ち出していけばいいんだなということをみんなで感じたイベントでした。

 また、 竹細工のコーナーも好評を得たイベントでした。 竹細工でトンボや花瓶を作るコーナーで、 当初は今時の子供はナイフが使えないと聞いたのでちょっと不安だったのですが、 これもふたをあけてみると大好評でした。 やったことのない子供も、 やってみるとけっこう楽しんでくれるんです。 意外だったのは、 親の方がけっこう熱中して作っていて、 出来上がった竹トンボを張り切って飛ばしていたことです。 昔ながらの遊びもみんなに受けるんだということも分かりました。

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土嚢ハウス、 前のファイヤープレースも手作り
 文化祭の企画のひとつに土嚢ハウス作りがあります。 土嚢作りを見学に行ったとき、 これは面白そうだから自分たちでもオリジナルを作ってみようと考えた企画です。 また、 生徒全員でひとつのものを作りたいという希望もあったので、 土嚢ハウスを作ることになりました。 生徒のアイハラ君が中心となって図面も生徒が引き、 園芸療法課程の生徒達が土嚢袋を積み上げ(土も生徒達が掘って詰めました)、 専門課程の生徒達が整地をし屋根を藁葺きで葺きました。

 最終的には、 写真のようなハウスが出来上がりました。 ハウスの前のファイヤープレースは、 今まで職人さんとして活躍していた生徒の指導のもとで手作りしたものです。

 2日目の夜は、 後夜祭も兼ねてこのファイヤープレースで火を燃やし、 回りでお酒を飲んで「お疲れさま」と口々に言い合って文化祭を終了したものです。


学生気質

 学校には、 いろんなクラブ活動があります。 一端を紹介すると、 学校ならではのものとして園芸クラブ、 アロマ研究会があります。 アロマ研究会は、 学校の回りに生えているハーブを採ってきて、 アロマウォーターやオイルを抽出しています。 この研究会を立ち上げた人は、 アロマセラピストになろうかなと言っています。

 園芸には関係ないのですが、 新聞友の会もあります。 いろんな記事をみんなで持ち寄って、 時事ネタを話し合う会です。 あと、 遊べる会としてはジャズ同好会。 近所でイノシシを捕ってきて、 鍋をつつきながらジャスを聞くということをこの前やりました。

 いろんな活動を紹介して参りましたが、 私たち学生の特徴は三つあります。

 ひとつは、 とってもアクティブ。 とにかく行動派が多く、 とりあえず動いてみるという人が主流です。

 ふたつ目は、 企画力のある人が多い。 さらっと案が出て、 じゃあこうしようと段取りが出来ます。 会社経験をしていた頃に思ったんですが、 今の社会には意外と企画力のある人って少ないんです。 一般の社会と比較して、 ウチの学校はその辺が強いと思います。 センスのある人が多いとも言えます。 デザインセンス、 話のセンス、 人をまとめるセンス、 遊ぶセンス、 何か見つけるセンス、 そんな力を持った人が多いと思います。

 三つ目は、 何でも手作りが基本であること。 自給自足せざるを得ない環境ですから、 自然とそうなります。 ピザが食べたいと思っても宅配ピザは来てくれませんから、 ひもじい思いで愚痴るよりは、 さっさと自分たちで作った方が手早くていいやということになります。 環境にも助けられ、 手作り感覚を豊かにしていける生活です。

 結果的には、 学校というよりは生徒の魅力をアピールしてしまいました。 こういう生徒達と先生に支えられ、 淡路景観園芸学校はますますいい学校になっていくのだろうと思います。 これで、 私の話を終わります。

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