アジアの大都市における都市デザインの状況
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2.アーバンデザインの位置づけ

 

 とにかくあまりにもプロジェクトが多いものですから、 ある欧米の専門家が調べたところ「全世界の建設機械の7割が中国で動いている」という話があるほどです。 日本の方にその話をしたところ、 「多分そうだろう。 残りの3割のうち1割が日本だろうけど」とおっしゃっていました。 ともかく、 プロジェクトが多いので、 どのように都市空間をコントロールすればいいかという土地利用の発想が出てくるのは当然です。 ですから、 ここ5、 6年はアーバンデザインが中国でも認識されているところです。

 では私たちはアーバンデザインを都市計画の中でどのように位置づけているのか。 それを説明していきます。


1.法定計画体系の構成

 これについては、 中国は日本・アメリカ・ドイツ・イギリス・フランス・韓国と似ていると思います。

 中国では2段階の計画で構成されており、 まず土地利用中心のマスタープランを採用し、 その下に詳細計画を取り入れています。 日米の土地利用はゾーニングが中心ですが、 中国はどちらかと言うとドイツのB-planに近いようです。

 この2段階の法定計画には、 建築に関する許認可制度があります。 中国の許認可制度はイギリスの制度と若干似ていて、 2段階に分けています。 つまり、 土地利用計画段階と建築計画段階の2回に分けて許認可が出されます。

 ただ、 土地利用中心の計画で、 大規模な開発計画の時に急ぐあまりに建築デザインを練らずに出来上がることもあり、 そういったことを防ぐために都市計画にアーバンデザインを導入すべきだと思います。 今は、 アーバンデザインは詳細計画の補完として位置づけられている面が大きいようです。


2.アーバンデザイン推進の仕組み

 次に指摘しておきたいのは、 何故最近になってアーバンデザインを取り入れる動きが活発化してきたのかということです。

 ひとつには、 政治家がアーバンデザインを重視するようになったことがあげられます。 中国の市長、 町長、 県長の任期はだいたい1期2〜3年なのですが、 その任期内に目立つ業績を残したいと考えたとき、 時間のかかる産業開発ではなく都市環境関係のプロジェクトに目が向くのです。 このようなことを中国ではイメージプロジェクトと呼んでいます。

 二つ目は、 都市計画学会やアーバンデザイン委員会など学術団体がアーバンデザインを推進する力となっています。

 三つ目の理由として、 国際コンペが盛んだということがあげられます。 国外、 国内を問わず一流の事務所が技術を競い合っていることもアーバンデザイン推進の原動力となっています。

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